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自傷 06
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「そんなに傷付けてどうしたの」
「最近…全然眠れなくて、毎日寝不足のまま仕事行ったら、ミスばかりして…もう消えてしまいたくなって…」
ゆっくり原因を教えてくれる光さん。
言われてみたらそうだ。目元に隈が出来ている。
今日でもう限界だったんだ。
すれ違いの生活で、ほとんど会話も出来ていなかった。顔も見ないこともあったから、眠れていなかったことにも気付かなかった。
今日は残業しなくて良かったから、走って帰れば光さんと会話だって出来たはずだ。
「そっか。気付いてあげられなくてごめんね」
「…んーん」
傷を付けるのは満足したのか、血塗れの破片を床に置いた。
「満足した?」
「した」
「じゃあ、救急箱持ってくるね」
もう一度頭を撫でて、救急箱を取りに行った。
救急箱と濡れタオル、蒸しタオルを持ってきた。
蒸しタオルを光さんに渡し、光さんに手を綺麗にしてもらい、俺は手当てを始めた。
今日はいつもより傷が多いな…。
太ももだけではなく、刃物を持っていた手も切れている。
濡れタオルで血を拭って消毒液ガーゼで拭く。
傷口に消毒液が沁みるのか、光さんは時々呻き声をあげた。
傷が多い分、痛みもいつもより大きいはず。
太ももの傷はガーゼで覆い、手の傷は包帯を巻いた。
手当てが終わる頃には、光さんはぐったりしていた。
「手当て終わったよ」
「ん…ありがと」
「頑張ったね」
そう言って頭を撫でた。
「ん…」
自傷して痛みを味わった後に、また痛みを味わうんだ。本当に大変だと思う。
光さんは頑張っていると思う。
別に自傷してもいいと思っている訳ではないから、いつかはやめて欲しいけど、急がずゆっくりやめられたらいい。
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