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迷子の鈴音とうーくん 02
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すると茶髪の人が、鈴音の手を掴んだ。
「お兄ちゃん…?」
鈴音が驚いて茶髪の人を見つめる。
「鈴音くん、心配かけたんだから謝らないといけねーよ?いーくんとひーくんのこと嫌いなら謝らなくていいと思うけど、好きだろ?」
「好き…」
「じゃあ、ちゃんと謝れ。そしたら、またモルモットさんなでなでさせてやるから」
それまではなでなで禁止、と言われると鈴音は無言で立って、俺たちの脚に抱き付いてきた。
「いーくん、ひーくん、心配かけてごめんなさい」
「もう一人で行くなよ?俺たちが付いて行くから」
「うん。ごめんなさい」
光さんは謝る鈴音の頭を優しい笑みを浮かべて撫でていた。
それからは鈴音が茶髪の人から離れなくて茶髪の人が「じゃ、また撫で撫でするか」と鈴音と遊んでくれると言ってくれたから申し訳ないけどお願いした。
いくらお願いしたからと言って見ず知らずの人に任せているわけだからそこから離れられることは出来ず、俺たちもモルモットを撫でることにした。
「元気いいねえ」
「そうだね。捕まえるの苦労した…」
「見てて楽しかったよ」
捕まえようとするとモルモットが逃げるし、捕まえたと思ったら暴れるしで、俺は必死だったけど光さんは笑っていた。
俺の捕まえたモルモットを撫でる光さんを見る。さっきの悲しそうな雰囲気が消え、ほのぼのしていて安心する。
その穏やかな表情は久し振りに見たと思う。
熊本に来ると決まってから、笑ってはいるけどどこかぎこちないと感じるところがあったから。
「ひかさんが楽しめたとなら良かったばい」
「ありがと、いろ」
「んーん!」
鈴音を連れてくるのも楽しいけど、今度は光さんと二人っきりで動物園とか行きたいな。
ふれあいタイムが終わり、そのまま四人で電車に乗って熊本駅に向かっていた。
うーくんこと羽衣くんは俺の二つ下だった。別に先輩後輩でもないしということで、もう電車の中ではみんなタメ口で話していた。
「ねぇねぇ、ひーくん!うーくんね、ういくんて名前とばい」
「そうなんだね。だからうーくんって呼んでるんだね」
「そーばい!」
羽衣くんと出会って嬉しいのか興奮ぎみに光さんに話しかける鈴音。
光さんは相変わらず優しく鈴音の話を聞いてくれている。
「ね、羽衣くん。連絡先交換しない?」
「しよ!俺、QRコード読み取るから、いーくんは表示して」
「りょーかい」
QRコードを表示して差し出すと、羽衣くんがそれを読み取って登録できた。
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