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春の実力テスト結果5
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ふと気になったことがある。
たかが学年順位でどうしてここまで嫌味や妬みを聞かねばならないのだろうか。
それを優流に聞いたところでほとんど自宅学習なのだからわからなさそうだ。
だったら、笹原先輩に聞けばいいか。
ちょうどよく目の前にいるし。
「うちの学校はちょっと特殊と言えば特殊でね。」
と、俺が聞く前に口を開いて答えだした。
エスパーか。
それとも単なる「優しい」先輩か。
我ながらいまだに笹原先輩には警戒心を解けないでいることを自覚している。
それは多分、初めて会ったときのあの優流の緊迫した表情から来ているのだろう。
何かしら二人には関係があった。
それは確実だろう。
「ここの学校で成績順ってのはつまり、進路の優先順位なんだ。」
「ん?成績が良ければその分先生も乗り気になるって当たり前じゃないっすか?」
「んーそうなんだけどね。ちょっとこの学校はその乗り気ってのが順位によって大幅に変わるんだよ。唯一大差ないと言えば1~5位までの人間だね。」
「それで良くいじめが発生しませんね」
いじめの理由は大抵はたから見ればくだらないことばかりだ。
地味だから、しゃべらないから、男にちやほやされているから、成績が良くてむかつくから、何となく目に付いたから、だれかをいじめたい気分だったからなど。
傍から見れば本当にくだらなくてちゃちな理由だが、本人にとっては大義名分のようなものだろう。
そちら側に立ったことがないため、よくはわからない。
「いじめが発覚したらその人達の次のテスト結果に響くからね。たしか…一教科に付き20点減だったきがする」
それは大きい。
5教科合計で100点だ。
しかし、副教科などを入れるとそれで済むわけがない。
順位が良い奴にしろ、悪い奴にしろ、相当な痛手だ。
そういえば、優流全然話に着いてきていないな。
またちらりと優流を見ると少し青ざめている。
なるほど。
繋がった。
「いじめはあるんですね。それこそ裏で」
「あはは。陸希君は本当に勘が鋭いというか、頭が冴えているというか。奏多だったら一生気づかないね」
「俺の事さりげなく馬鹿にするの止めてくれませんか?つかそれって俺たち全員やばくないっすか?」
「俺たちは別にやばくないよ。陸希君や奏多の評判は俺たちの学年でも聞こえるほど良いし、俺もそこまで評判が悪いわけじゃない。せいぜい悪口を言われるのは成績が貼り出された時だけ。」
「ほえ~なるほどなるほど。でしたら安心っすね!」
こいつ勉強以外は馬鹿なのか?
馬鹿だよな。
優流の話が何一つ出ていないってことは対象であると汲み取っていいはずだ。
笹原先輩に目線を送ると頷かれた。
そろそろ優流も限界近いし、お開きにするか…
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