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滴Ⅳ
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部屋のドアをノックするなり、強引に引っ張り込まれた。
脚がもつれそうになったオレを支えてくれた腕を感じたら
強張っていた指から力が抜けて
手に持っていたジャケットが、床へ落ちてしもた。
「何をしていた?」
返事をする暇もなく、噛み付くようなキスに追い詰められてゆく。
「ふぅ、っん、…んぅっ」
ドアを背にしたまま、ズルズルと座り込みそうになった。
「…も、苦しいっ」
息も絶え絶えになりながら、目の前の胸を必死に押しのけた。
「それで?ちゃんと穿いてきたんだろうな。」
静の目がキラリと光った。
「ああ。穿いて…きた。」
いつか、温泉の素と一緒に送られてきた、紺色のエゲツない下着を着けてくるように言われていた。
「アレを穿いて、ここへ来るだけでこうなったのか…?」
ブラックジーンズの上から、ネットリなぞられて、オレは唇を噛んだ。
ジッパーが下ろされて、恥ずかしい部分が丸見えになる。
「地下鉄に乗っている内から、濡らしていたのか?」
色が変わった部分を摘まむように触られただけで、こわい位に感じた。
「ぁ、せ。ゃっ、…あぁっ!」
勝手に腰が動いて、ナニが何やらわからん間に、暴発してしもた…。
「…和泉?」
さすがに驚いたんやろな。
何か言いたそうな顔に、ヘラッと笑って答える。
「…ん。ちょっと、疲れてるだけ、やと思う。」
体と心のバランスが取れてへんのは、判ってたけど。
面倒や心配は、今は脇に避けときたかった。
オレが吐き出したものを手早く拭うと、静はすこしの間、抱き締めてくれた。
―大丈夫。
香りと一緒に、安心が全身へと染み渡った。
「このジャケットは、どこで買った?」
床に落ちたままやった上着を拾い上げて、静が訊いた。
「ああ、神戸の高架下。安かったから…」
札幌で静のを借りた時に、この形が気に入ったことは、黙っといた。
「よく似合う。」
ジャケットか、下着か
どっちの話か分からんかったけど
満足そうな顔を見て、胸がキュッとなった。
「…シャワー、浴びてくる。」
優しく首筋をなぞる指が、離れたのを見計らって、オレは風呂場へと向かった。
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