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式
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静に報せたもんか、ちょっと迷った。
『学校なう。』
言葉はそれだけにして、咲きかけの八重桜を写メした。
小学校で待ち合わせて、久し振りに会うた嫁は
式の間も、ソワソワ落ち着かんような様子やった。
「あのなぁ…おまえの入学式とちゃうねんぞ?」
「うん。でもな…なんや、えらい緊張するわ。普段とちゃう格好やからかな?」
確かに
そのツーピースは普段の嫁の服装より、かなりタイトなデザインっぽかった。
紺色の制服を着た一団は、元気に返事をしたり、神妙な顔でお辞儀をしたり。
いかにも一年生らしい初々しい姿をおさえようと、どの親も必死でカメラやスマホを構えとった。
どの子もカメラ目線が堂にいっとるんは、時代やな。
式の後、アナウンスがあって、一年生の教室に向かう。
5分ほどの担任からの話が終わると、教室から子供たちが飛び出して来た。
「おとうさん!!」
「悠真。おめでとう。」
「うん!」
満面の笑みを浮かべた息子は、どの子よりも輝いて見えた。
「お腹すいた。お昼食べに行こう。」
無邪気なオネダリに笑顔で頷いたオレは。
その後の1時間ほど
引きつった笑いしか浮かべられへんようになるやなんて、思いもせえへんかった。
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