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詰
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「美緒。」
たしなめるようなお義母さんの声にも、義妹の勢いは止まらへん。むしろ、エンジンをかけてしもたみたいやった。
「こういうドアホにはな、いっぺん誰かがビシッと言うたらなアカンねんて!!」
正面から指をさされて、思わずオレは固まった。
「浮気してた上に、バレたら開き直って、別れて欲しいって言うたんやって?開いた口が塞がらん言うんはこのことや!」
「拓真っ!アンタようそんな勝手なことが、…まさか!それで単身赴任なんて始めたんか!?」
クワッと、オカンの顔が般若になった。
「大体なんやの?浮気するならするで、バレへんようにやるんがエチケットやろ!」
後の二人が、うんうんと真顔で頷いた。
「それからな。絶対ホンキにならへん。バレてもシラを切り通す。コレが出来ん男に、浮気する資格は無いっ!」
―浮気する資格?
何やねん?それ。
ギャアギャア文句言うときながら、アンタ結局、浮気容認派なんか?
よっぽどツッコンでやろうかと思ったけど
これ以上ややこしい状況が長引くんはイヤやったから、黙っとくことにした。
「で?貯金、どんだけあるの?」
―え?
貯金??
「お姉ちゃんのこと、一生大事にする、ってウチの父に約束しましたよね?」
「えぇ、まぁ…。」
結婚の許しを貰うた時に、たぶん、そんなことを言うたような…。
「それを反故にするんやさかい、それ相応のことをして貰お、思てますねんけど。…正直、どれ位やったら、出せますのん?」
「それってつまり。慰謝料、ですか?」
「まぁ、厭らしい話になりますけど、そういうことです。こっちとしては、五百万位が妥当ちゃうかな、思てますねんけど…?」
取り敢えず三百万ある…と言いかけたところへ、息子を連れた嫁が飛び込んで来た。
「美緒ちゃんっ!あんたまた勝手に、何言うてんのっ!?」
「せやけど、姉ちゃん。私らが何も言わんと放っといたら、ずっと、気持ち悪い、グズグズなままやんか?」
「姉ちゃんには姉ちゃんの考えがあるんやから、あんたは黙っときっ!!」
「おお、こわ…。久々にマジでキレたはる。」
美緒さんはうっすら笑いながら立ち上がると、オレに向かってこう言うた。
「お義兄さん。ホンマに離婚したいんなら、肚括って、姉ちゃんが感傷に浸る暇もない位、次々話を進めてやるのが、せめてもの情やないですか?」
ピシャッと頬を叩かれたような気分やった。
「ほな、ゆうくん。元気でな。おばちゃん、おじいさんの病院行ってくるわ。」
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