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臥
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「うん、美緒ちゃん。気を付けてね。」
バイバイと手を振る我が子を見ながら
オレは首を傾げた。
―おじいさんの病院?
悠真にとってのおじいさん。
つまり、嫁の父親。
2月頃に入院した、て聞いた気がするけど。
まだ退院出来てへんかったんか?
「お義父さん、あれからどんな具合なんや?」
訊いたけど、莉緒は俯いて黙ったまま。
代わりにお義母さんが口を開いた。
「3月の半ばに発作が起きて、その後から半身不随ですねん。」
「いやぁっ!?そんなん全然知りませんでしたわ」
叫んだオカンが即行で訊ねた。
「そしたら、まだ病院ですのん?」
「いえ、それはもうすぐに、落ち着きましてんけどね。退院直前に、私もなんやしんどなってしもて…、今はちょっと、近場の施設に預かって貰ろて何とかやってるところです。」
「あらあら、まぁ…。」
「こないなってしもても、男親の意地かしらん。娘らが来たら、頑張って自力で食べたり、トイレ行ったり、して見せてねぇ…。」
クスッと笑いながらの言葉が、オレにはえらく重かった。
自分の娘の為やったら、自由の利かんなった体でも張って見せる…。
ああ、ヤバい。
―ホンマ、かなんなぁ。
申し訳なさやら、何やらで、マジで泣きそうやった。
「美緒は、あないに言うてたけどな。あんたらの人生は、あんたらのもんや。せやから、自分でよう考えて決めなさい。私に言えるんは、それだけやわ。」
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