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1人、いないと
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僕、トド松は久々に嫌な夢を見た。
全身汗が吹き出ていて、目には涙が溜まっていた。
心臓がバクバクと激しく動いて呼吸がうまくできない。
頭がまだ混乱している中、まだ寝ている兄達を見た。
みんな酷くうなされている。
「同じ夢…見てるのかな…」
――僕はおそ松兄さんが死ぬ夢を見た。
なんで死んだのかわからない、ただおそ松兄さんが夢で最後に言った言葉は忘れられない。
「怖い」と言ったのだ、あの長男が。
あんなに威張って産まれたのも数秒くらいの差しかないのに、兄さんヅラしてそれなのに絶対僕らの前では弱音を吐かない…あの長男がだ。
僕はただ、ひたすら泣くことしか出来なかった。
1人、いなくなるだけで夜がこんなにも寒いことに初めて気づいた。
続いて十四松兄さんも勢い良く起き上がって兄と僕がいることを確認しだす。
「あ、十四松兄さん……」
「トド松!」
ぱあっと表情を明るくさせると安心したのか急に泣き出してしまった。
その理由をわかっている僕は、両隣の兄を起こさないように布団から出て十四松兄さんの方へ駆け寄る。
「大丈夫だよ十四松兄さん」
「……うん…」
十四松兄さんの静かに泣く姿も初めてで、きっと怖かったんだろうなと思いながら抱きしめる。
それから二人でおそ松兄さんの方を見ると、彼も震えながら泣いていた。
「ごめん」と何度も呟いて隣で同じように泣いているチョロ松兄さんの手を握りしめていた。
「…なんでこんな夢見たんだろうね」
十四松兄さんは泣き止むと、僕に聞いた。
「わかんない…でも、僕ら不安だったのかもね」
こんなに依存し合ってる僕らが、いつか離れたり死んでしまったらどうすればいいのか、どうなってしまうのか。
きっと笑い合うみんなが心の奥でそんな不安を隠し持っていたのかもしれない。
そしてその中でももし、おそ松兄さんがいなくなったら。
チョロ松兄さんと僕は特に2度と立ち直れないだろう。昔から一番おそ松兄さんにばかり頼って、隣にいることが当たり前だったのに、いきなりいなくなったら僕達2人はまず耐えられないだろう。
カラ松兄さんはきっと1人で抱え込んじゃうんだろうな。
一松兄さんはきっと一番泣いちゃうだろうし、十四松兄さんが笑わなくなっちゃったら…嫌だなぁ…
「トド松、考えちゃだめだよ」
その言葉にふと我に帰る。
十四松兄さんの方を向くと、さっきの泣き顔はどこにもなくいつもの笑顔に戻っていた。
「みんな一緒だから、ね?」
「……うん、ありがとう十四松兄さん」
十四松兄さんの手を握ると、とても暖かくてちゃんと生きていること、ここに存在していることを実感した。
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