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返事を聞かせて
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「えっ、あ…ど、どうしておれんち知ってんだよ!」
笑い混じりに言ったものの、本心では焦っていた。
洋介さんと住んでるなんてバレたらどうなることか。
洋介さんのことが好きな女子の反感を買うのはごめんだし、付き合ってるのがばれるなんてなおさら。
「えっと…中学の時お前んちいったことあっただろ?用事あって行ったんだけど、ここに引っ越したっておばさんから教えてもらって…。一人暮らししてんの?」
どうやら前の家に行って聞いたらしい。
おばさんとは母さんのことだろう。
「一人暮らしじゃなくて…親戚のおじさんと住んでて…で、用事って?」
親戚のおじさん、この程度なら洋介さんだとバレることはないだろう。
「…返事、ほしくて。話そびれたし…。振るなら思い切り振ってほしい…」
返事。
それはきっと告白の返事。
「…俺、は」
なんて言ったら傷つかない?
いや、好きな人に振られて傷つかない奴なんているか?
俺は洋介さんに振られるならなんと言われようと傷つく自信がある。
じゃあ、すっぱり諦められるような言い方?
ええと、ああもう、わからない。
「俺、付き合ってる人、いる」
「…あ、そ、そうだったんだ…。なんか、俺、ばかみたい」
春樹は笑ってごまかそうとしてるけど目に浮かぶ涙は隠すことはできない。
玄関で話していて、風呂上りということもあり体は冷えていく。
だが、心臓は鼓動を速めていき頭だけはぼうっと熱くなる。
「明日になったら、なかったことにするから」
春樹はそう言って涙目で俺を壁に押し付けた。
ああ、これが肘ドン。
洋介さんにされた壁ドンより近いな、なんてのんきな考えが頭に浮かんだ。
春樹の唇が俺の唇に触れる頃、春樹の涙はほおを伝った。
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