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ーBメロー
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ここに来て一週間
少しだけ動けるようになった
朱雀は飽きもせず俺の面倒を見てくれた
でも、仕事は?
毎日家にいるような気もするけど
「今日は野菜ジュースだ」
「野菜は嫌い」
「飲む前に決め付けるな」
「・・・・・・・・・・・・・」
少しだけだけど飲み物も飲めるようになった
でも、野菜ジュースは嫌い
「野菜と言ってもフルーツも入っているし見た目は悪いが味は保証済みだ」
喉は渇いてる
でも緑色の液体は・・・
「さぁ」
飲むしかなさそう
仕方なくストローをくわえ、緑色の液体を飲んだ
「・・・・・・・・美味しい」
「そうか」
「うん」
野菜の味は全くしなかった
甘くて美味しかった
「楓は何が好きなんだ?」
「好きって?」
「食べ物かな」
「・・・・・・・・・・・・・プリン」
「プリンなら食べられそうだな」
「ホント?」
「ああ、後で用意する」
「うん」
プリンが食べられる
何日振りかな
ずっと食べてなかったから素直に嬉しい
そして朱雀は本当にプリンを用意してくれた
「そのまま口を」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
開けなければ食べられない
だから素直に開けた
そして甘いプリンが口に中に広がった
「どうだ?」
「すごく美味しい」
「そうか」
いつも食べていたプリンとは全然違う
すごく美味しい
黙々とプリンを食べ、空になった容器を見つめた
「・・・・・・・・もしかしてまだ食べたいのか?」
「うん」
「わかった」
そして2個目のプリン
もっと食べたいけど2個でストップがかかった
「今日はここまでだ」
「明日は3個食べられる?」
「そうだな・・・まだ駄目だ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あさっては?」
「珍しく必死だな」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「わかった、あさってなら」
「うん」
そんなに必死だったかな
でも美味しいプリンは沢山食べたい
「ねぇ」
「どうした?」
「仕事は?」
「急患は診るが病院はしばらく休みだ」
「もしかして俺のせい?」
「休みはたまには必要だしこう言う事が無ければ休む事も無かったしね」
「病院に動物はいないの?」
「面倒をみる人はいるから大丈夫だ、様子が急変するような患畜も今は居ない」
そうだったんだ
だから毎日いたんだ
と言うか動物って患畜って言うんだ
「もう少し起きれないかな・・・ずっと寝たままだから腰が痛い」
「わかった、ベッドを少し起こそう」
「うん・・・あっ、点滴外れない?」
「長いから大丈夫だ」
「そう」
そしてベッドを少し起こしてもらった
このほうが楽
「退屈だろ?音楽でも聴くか?」
「うん」
でもかけてくれたのはクラシックだった
よくわからないけどすごく綺麗な曲
朱雀は俺の横で難しそうな本を読んでいた
そう言えば最近傍にいてくれる事が多くなった
別に嫌じゃないし逆に落ち着く
静かな音楽とページをめくる音
ここには敵はいない
追いかけられる事もない
はじめて味わう平穏な日々
これが幸せと言う事なのかな
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