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雨が止んだ日◇04
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ーーそれから食べ終えても暫らくその場でのんびりとして過ごした。もうそろそろ行く?と声をかけられて頷くと、お手洗いに行くから支度をしておいてとのこと。驚いたのは、待っている間に彼が会計を済ませてしまっていたこと。
「桑原さん、俺お金持ってたのに」
店を出ても申し訳ない気持ちでいっぱいで、感謝もろくに言えずにうじうじとしていると、ごめん、と笑われた。
「大人ってずるい。そんなことさらっとやっちゃうんだ」
「私もやってみたかったんだよ。さらっと」
わざとらしく子供みたいに笑うから、俺もつられて笑った。
「……ありがとうございます。美味しかったです」
「よかった」
「でもどうして急にパスタだったんですか?勝手なイメージですけど、桑原さんって和食かカレーだと思ってました」
「カレーライスは私も仕方なくだよ、あれしか作れないから。……パスタは食べたくなったんだ。でもやっぱり違うね」
「美味しくなかったんですか」
「美味しかったよ。でも涼太くんが作ってくれた方が美味しい」
「っ……」
間違えた。ずるいのは大人じゃなくて桑原さんだ。
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