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愛した人◇04
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この男を抱きたいと本気で思ってしまった。
その理由はこじらせた初恋なのか、色気のある彼への興奮からなのか、或いはそのどちらでもなく酒のせいだという言い訳か。
それを知ってどうにかなる訳ではないけれど、計画とは別に感情的になってした行動はひどく本性とやらを感じる。
俺はまるで愛に飢えた子供のようだ。
「クソッ……!」
何かを考えることはできなかったと思う。
だからとか、でもとか、そんなことはもうどうでも良かった。
頭の中を回るのはこの男に対する感情のみで、それが良いものか悪いものかも分からない。
ただただ壊れた機械みたいに、彼の名前を繰り返し呼んでいた。自分しか知り得ない、頭
の中で。
「ちょっ、待って!そんな急にっ……キ、ツイって、ばかっ!」
自分の手首に巻かれていたネクタイを自力で解いたのだと、そう気付いたのは木下の細く折れそうな足を掴んでいたからだった。
俺の前で大股を開かされている木下が、辛そうに眉間にしわを寄せている。
自分の荒い呼吸に混ざって、彼の小さな喘ぎ声が聞こえる。
「ひ、日比谷って……意外と最中は乱暴なんだな」
ふっ、と小さく笑む木下がまるで知らない人のようで、悲しくなった。
風に揺れる色素の薄い茶髪と、クラスメートの前ではにかみながら挨拶をする姿と、純粋で無知な可愛らしい笑顔とーー。
必死に記憶を辿って、ずいぶんと幼い木下裕也という男を犯していた。
「っ……」
薄いカーペット一枚の床はひどく不快で、行き場をなくした木下の腕がカーペットの短い毛を必死に掴む。
何だかその姿が愛おしく感じて、思い切り抱き寄せて膝の上に座らせた。
「わっ、あっ……?!」
「……木下、かわいい」
「なに、酔って、んんッ」
上下に突き上げるとより木下の甘い声が溢れた。ダラけるように俺に全体重をかけた彼が、首に手を回して小刻みに揺れる。耳元で囁かれる声が、普段からは想像できないほどの色気に溢れていた。
身体中が熱くなるほどの興奮と、何も考えられないほどの酔い。
頭がぼうっとして、狂った獣のように木下を求めていた。
好きだ、好きだ、好きだ。
そう、聞こえない声で繰り返しながら。
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