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『…まあ。今日はこの辺で帰らせていただきます。』
シンさんが席を立った。
傍に置いてあったコートと、マフラーを纏う。
「そうですか。」
俺はその様子を見守っていた。
会計…、と言って鞄を漁り出すので、絵里さんの分で十分ですと止めた。
『お酒、美味しかったです。また来てもいいですか』
店のエントランスで立ち止まり、こちらを振り向いた。
「ああ。ええ、もちろんですよ。次は他のカクテルで楽しんでいってください。」
それにこくり、と頷いてマフラーに顔を埋めれば、カランと音を立て店を出て行った。
「……」
扉を暫くの間見つめる。
ふう、と大きな溜息が口から溢れた。
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