アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
36
-
自分でも、分かってはいる。
曖昧な関係をこのまま続けていたら、俺じゃなく、きっと相手の方が傷つくことになる。
ある男を忘れるために利用され、抱かれていたなんて知ったら、一体何人の奴等が俺を恨むんだろう。
それでも。俺は、止められない。
どっぷりと、這い上がれない所にまで体の隅から溺れてしまった。
相手に欲される、快感に。
「俺にはこういうのが性に合ってんの。」
携帯のアドレス帳を眺め、下にスクロースしていく。
覚えてない名前多数。お店の常連さん少数。
学生時代の連れ、そこそこ。
情けなくなるようなその状態に、ふ、と息が漏れた。
今日は誰と過ごそう。
暇そうな奴、……後で電話かけてみるか。
そんなとき横から『あーあ。』なんて、高い声。
『…ほんと詐欺。見た目は誠実そうな顔してるのに』
「誠実そう?俺が?」
『中身はクズだから安心して』
「(……クズ。)」
痛い一発を俺にくれた彼女は、寝室を出ようと扉へ向かう。
そこで、ふと。
思い立ったかのように、足を止めこちらを向いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 63