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好きじゃない
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それから体育祭が終わるまで、一樹とは何も無かった。僕は自分の役割を淡々とこなした。選抜リレーでもしっかり3年生相手に力の差を見せ付けた。
一樹と何かを求めていた訳じゃないけど、あれから一言も喋ってないのはやっぱり不自然だ。少し寂しい。
学校指定のジャージは泥だらけになっていた。昨日の夜丁寧に縫い付けたゼッケンはもう取れそうだ。
帰り道、天空と話した。
「ねぇ、天空。」
「ん?なに?」
天空は今日は委員会の仕事で来賓の方々にお茶出しをしていたから、体育祭中は1度も会わなかった。
「僕さ、ちょっと一樹の事で気になる事があるんだけど。」
「なになに」
なんでそんなに食いついてくるんだ?
BLを期待し過ぎじゃないか?
「一樹って、クラスでそんなに嫌われてるの?」
「なんでなんでんでん⁉︎」
「ちょっと、待って。どうした⁉︎『でんでん』ってなに⁉︎」
「いいからいいから!はよはよ!」
「いやさ、今日ね体調悪くなって日陰で休んでたんだけど。そんとき一樹と2人で喋ってたの。」
「うんうん!それで!」
こいつはなにを望んでいるんだ。
まったく…
「その時さ、いつもと違う一樹を見たっていうかさ…」
「あぁ〜あれね。」
なんか天空の雰囲気が一気に変わった。
「あれって、見てたの?」
「いやそうじゃなくてさ、オレもびっくりしたよ。同じクラスになってしばらくしてさ。急に物悲しい雰囲気になるやつでしょ?」
「そう。それ。」
「あれね〜。オレには教えてくれなかったよ。」
「そうなんだ…」
じゃあ僕だけなのかな。話してくれたの。
「なんかクラスで嫌われてるとかそんな事言ってたけど…」
「あぁ〜、やっぱり気付いてたんだね。まぁ気付かない方がおかしいか。」
「そんなに?」
「うん。凄いよ。一樹が出て行った直後から悪口大会。吐き気がするよ。」
「そっか…」
そんなに酷いの…?
「それにね((「もういい。」
「あ、そう?」
「もう…分かった…」
もう…分かったよ。一樹…。
「悠ってさぁ、なんでも見抜いちゃうよね。オレとか一樹の気持ち。」
「そう?見てれば分かるよ。」
「エスパーめw」
「違うよ((笑」
今日は帰って休もう。
疲れすぎた。
なんか、ヤバイな。
明後日は代休だし、久しぶりに遊ぶか。
「悠。もう辞めな?遊ぶの」
「なんで分かったの?」
「顔が歪んでる。良くないよ。」
「分かってるけど…ちょっと今回は許して。」
「知らないよ。一樹とどうなっても。」
「五月蝿いよ。」
1日くらい良いよね。
なんかすごく居た堪れない。
「一樹…ね…。」
天空がフフッと笑った。
「悠は一樹が好きなんだね。」
好き?
いや違うよ。
友達だから辛そうなのを見るのが嫌なだけ。
恋とかそういう好きじゃない。
「違うよ。」
否定の声は弱々しかった。
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