アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
接待【side/周防 恭介】
-
雑誌撮影が終わり
次の撮影場所までの移動中
俺は少しでも寝たくて
座席を後ろへ倒し
腕を組みながら
目を瞑っていた
―――あれから
さらに一週間………
椎名切れ………
もう限界…………
この仕事が片付いたら
ぜってぇ休みもらわないと
龍治とか云々の前に
俺は死ぬ
「恭介―――生きとるかぁ」
「……なんだよ……殺人魔」
「なんや、人聞きの悪い」
「むやみやたらに
仕事をホイホイ入れやがって……」
「お前が仕事をサボるからやろ?」
「……………悪かったな」
そう呟くと
突然、車が蛇行し
俺の体は
車の側面に向かってゴロゴロと転がった
「アブな……っ!本当に俺を殺す気かっ!」
「き、恭介が………謝りよった……
し、信じられへん…………」
「……………………」
ここ最近は暗躍しすぎて
迷惑かけたのは事実だし……
生きるために始めた仕事とはいえ
仕事への責任感やプライドも
それなりにあるんだっつの………
ま、気苦労の多いマネージャーのために
もうひと頑張りしなきゃな………
※よいこのみんなは
シートベルト着用!安全に運転しようね!
「今日はなぁ、ビックリするロケやで?」
「へ―――――…………あっそ」
「なんや、どんなロケなのか
知りたくないんか?」
「興味ない」
「とびきり美人と温泉宿で食レポや!」
「……………帰る、ここで降ろせ」
「わ―――!待て待て!
お前を連れて行かんかったら
ご褒美が………」
「ご褒美?」
「いや何もない、こっちの話………」
なんだ?
まさか、
『接待』とかじゃねぇだろうな………
尾野っちは
さらに車を走らせ
しばらくすると
政治家が利用しそうな
高級旅館へ到着した
…………………………
………ますます怪しくなってきた
俺は車から降り
尾野っちの指示を待っていると
「はい、これ、着替えな?」
ボストンバッグを手渡された
「あと、帰りの電車賃とか諸々の金と」
「ちょちょちょ、………はぁ?
こっから俺一人で行くのか?」
「そおや?」
「尾野っちは?」
「帰るし」
「はぁ?」
「ま、あとは現場のスタッフに任せてある
お前はいつも通り仕事したらええ」
「いつも通りって………
食レポなんてしたことねぇし……
って、あれ!もういねぇ!」
キョロキョロと尾野っちの姿を捜すと
尾野っちはすでに運転席に座り
窓から
「ほなよろしゅう
おたのもうしますぅ―――♪」
と、手を振りながら
赤い車をスキップさせるように
楽しげに去っていった……………
………………これは、間違いねぇ……
『接待』だ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
189 / 469