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ハンカチ。
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涙が溢れて、止まらないままで居ると、突然扉が開いた。
主かと思って、僕は急いで顔を上げた。
でも、やはりそんなことは無かった。
「あら……あらあら…そんなに泣かなくてもいいでしょう…寂しかったの…?」
女性は驚いた様子でこちらを見る。
僕は首を横に振った。
「ほら、可愛い顔が台無しよ?」
そう言いながら、薄いピンクのハンカチを差し出してきた。
なにか仕組まれているんじゃないか…と、考えてしまう。
「……やぁね、何も無いわよ」
どうやら顔に出ていたようだ。
優しく涙を拭いてくれた。
僕はハンカチを受け取り、その後泣き止むまで、女性はずっと一緒にいてくれた。
根はいい人なのかもしれない。
そういえば、僕を誘拐した目的は何なのだろう…また売る為…とか…?
「っ…ぁ……」
聞いてみようとしたけど、声が出ないのを忘れていた。
どうにもならず、女性を観察していると、
「あ、そうだわ、言い忘れていた。明日にはここの小屋とはお分かれよ♪夢の国へ引っ越すの!」
…………突然訳の分からないことを言い出した。
「あら?反応が薄いわね?夢の国よ?豪邸よ?嬉しくないの?」
…正直に言うと、夢の国や豪邸より、主に会いたかった。
「…つまらないわね…まぁいいわ、私はそろそろ行かなくちゃね。明日、引越しだから覚悟しておいてね。」
女性はそう言いながら、出ていった。
覚悟…か…やっぱり…主には会えないのかな…
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