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自転車
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俺は単純に颯太が好きだ。好きというより大切な存在という方が勝っている。一番近くにいて、毎日登校も下校も一緒だから誰よりも彼を知っている。
一つ、颯太の両親が離婚している事。この話は自分の母の口から聞いたが、彼から言う事はなかったから俺はまだ彼の前では知らないふりをしていて、話題にも触れないようにしている。
二つ、颯太は前の家庭の時も両親共働きだったから何もかも自分でこなしている。料理、家事、洗濯等親の負担を軽くする為に、毎日自分で動いている。
まだまだ俺だけが知っている事はある。
けど、彼の性格を変えたのはこの二つの出来事かもしれない。
変に大人びて、中学生らしさが感じられない。
小学生の頃から彼は文学が好きで休み時間になるとすぐに本を取り出して、文字を目で追っていた。
けど、普通に小学生らしい遊びを拒む事は一切しなかった。苦手らしい運動も誘われれば笑顔で参加していた。
時間が過ぎ、中学生になって心が成長したのか、自分の意思が強くなったように見えた。
周りの意見は耳で聞くだけで自分からの反応は示さない。下を向きながら分厚いハードカバーの本を見つめているだけだ。
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