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振られたばかりなのに、俺がそのことを全然引き摺ってないのは志郎さんのお陰だ。
この人のくれる優しさは洗練されてて底なしに甘い。まるで女の子を扱うみたいに、いやそれ以上に至れり尽くせり手厚く接してくれる。懐かない飼い猫のことを、目の中に入れても痛くないほどかわいがるように。
俺が不安になるぐらい、志郎さんは優しい。
「……別に、いいけど」
理由が見つからない。だから、断ることができなかった。目を逸らしてそう答えれば、きれいに整った顔が近づいてくる。重なる唇の感触に心臓がバカになったみたいに早鐘を打ち出した。
躊躇うことなく挿し込まれた舌の滑らかな熱さに、脳裏がチリチリと甘く燻る。
── あれ? この感覚。
きっとあの記憶のない夜に、俺はこうしてこの人とキスをしたんだ。
直観的にそう感じた瞬間、身体の奥に変な熱が灯り出した。絡み取られた舌が滑らかにくすぐられて、全身から力が抜けていく。
ああ、これはちょっとヤバくないか?
「……ん、っ」
いつの間にか抱きすくめられてしまって、胸の辺りに両手を添えてみたけど押し退けるにはあまりにも力が弱過ぎた。頭の中が真っ白になったその時、にゃあと小さな鳴き声が聞こえた。
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