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施設。
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俺はおっさんと2人で俺のいた施設に来た。
つい最近までいたのに
なんかすごく懐かしい感じがする。
ここで毎日生活して、周りの奴らに親ができて
どんどんいなくなっていって。
何故か俺だけがそういう話が一切でなかった場所。
今となってはその理由もわかったけど
当時は寂しかった。
そしてどんどん道を外れていった。
気がついた時にはその辺のゴロツキと同じになっていた。
「玲於、大丈夫かい?」
「あー、大丈夫。」
正直少し不安がある。
どんな話を聞かされるのか。
あいつと俺は兄弟なのか。
兄弟だったら…嬉しいって思えんのかな…俺。
「行けるかい?」
「さっさと聞いて帰って寝るー。」
クスッと笑われた
思ったより俺が気にしないと思ったのか安心した顔をしてる。
気にしてないわけじゃねぇけど
そこまで重くは考えてない。
今はおっさんがいるし
たくさんの組の奴らがいる
俺はもう独りじゃない。
「突然すみません。谷口と申しますが…」
「あら、谷口さん!!よく来てくださいました。どうぞどうぞ。あ!!玲於君!!」
「どうも…」
施設に入ってすぐ出迎えてくれたのは
俺の面倒を一番見てくれていた施設のおばさん。
確か…50歳近いんだっけ?
このおばさんには迷惑かけたな…と今になってやっと思うようになったみたいだ。
怒鳴ったり、殴ったりしたこともあった。
でも、俺を見放さず最後まで気にかけてくれてた。
怒られたこともあったし逆に叩かれたこともあった。
よく考えれば俺の母親みたいな存在だった。
他の奴らは俺が荒れだした頃から見放してたのに…
やっと気がついた。
俺にはちゃんと面倒を見てくれていた奴がいたことを。
謝りたい…
案内された応接室のソファーにおっさんと2人で腰掛け
向かえにおばさんが座る。
なんか緊張すんな…
「玲於君、最近どう?」
「まぁまぁ…」
「そっか、それならよかったわ♪なんだかんだ…ずっとここにいた玲於君がいなくなると寂しいよ。」
「………」
そう言ってくれるなんて思ってもみなかった…
自分は迷惑な存在だとしか思ってなかったから。
複雑な感情になる。
「今日は二三聞きたいことがありまして…」
「なんでしょう?玲於君のことですか?」
「そうです。この子の兄弟とか…そういう存在はいるのでしょうか?」
「少々お待ちくださいね。資料を持ってきますから。」
「お願いします。」
おばさんは別室に行き
ファイルを持ってきた。
一度だけ見たことがある気がする。
本棚がたくさんあって そこにはこれと同じファイルがびっしり入っていた。
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