アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
潰すとき。
-
毎日いつも通り
大体同じ時間に同じところを彷徨いて。
同じ景色を見て
たまに何やってんだろって考えて。
あのとき現れた
変なおっさんのことを思い出して。
初対面で何もわかってねぇくせに
知ったようなこと言って。
思い出しただけでイライラする。
ただ正義感が強いおっさんが
俺らみたいな奴を見つけては
同じこと言ってんだろ。
きめぇ。
今日はいつもと違うところに来てみた。
幽霊がでると噂の日が暮れると誰も寄り付かない公園。
俺は幽霊とかそういうのは全く信じてもいないし
興味もない。
くだらないと思ってる。
けど、そういう噂を信じてる他の奴らがいるおかげで
ここでは一人になれる。
ベンチで座って
ただ空を見て。
何もすることねぇなー。
つまんね。
たまにはほんとに楽しいって思えること
してぇな…。
もう毎日同じことの繰り返しで飽きた。
俺はジャージのポケットに手を突っ込み
小さな袋を取り出した。
今日、先輩から貰った小さな袋に入った少量の粉。
普通なら手を出す人はあまりいない。
そう、薬物。
先輩に
「これ試してみろ。楽しくなるぞ。」
そう言われ受け取ったこの袋。
この生活にも飽きてきたし
試してみてもいいかな。
そんくらいの軽い気持ちで受け取った。
袋をあけ、粉を指先につけた。
鼻から吸うだけでいい。
そう言われたから
言われた通り自分の鼻へと指を運ぶ。
「だめだよ。」
「…っ!?」
いきなり声が聞こえて
体がビクッとなったせいで
指についていた粉を落としてしまった。
突然聞こえてきた声は何故か聞き覚えのある声で。
「君、この前おじさん注意したよね?」
「またてめぇかよ。しつけぇな。」
「自分を傷付けるようなこと、なんでするの?」
「てめぇにはかんけーねぇだろ。放っておけ。」
「そうはいかないんだよね。ここまで見ると…さ。それにこんな時間にこんなところにいたら 危ないよ?」
「うるせぇ。」
余計なお世話だ。
なんで俺に構うんだよ。
うざってー。
何もわかってねぇくせに。
「家に帰りなさい。」
「嫌だね。」
「………。家に帰るのが嫌ならおじさんの家に来なさい。」
「は?」
なんで俺がてめぇの家に行かなきゃなんねぇんだよ。
意味わかんねぇし。
マジ謎。
「自分の家に帰りたくないんだろう?それならおじさんの家に来るといい。ほら、おいで。」
「嫌だ。」
「ほら。」
「…………。」
ほら。と何故か笑顔で手を差し伸べられて
行く気はなかったのに 気がつくと
俺は差し伸べられた手を握っていた。
立ち上がり、そしておっさんの手から自分の手を離し
何故か何も喋らず
ただ、おっさんの後ろをついて歩いた。
次会ったら潰してやる。
そう思ってたのに
どうしてかはわからないが
今こういう状況になってる。
何やってんだ?俺。とか
なんでこうなった?とか考えてはいるのに
俺はひたすらおっさんと歩いてる。
ほんと何やってんだろうな。俺は。
この状況、自分でも理解できねぇわ…
「ほら、ここ。近いでしょ。」
「あぁ…まぁ。」
着いたのは
高層マンションの入口。
エレベーターに乗り
おっさんは最上階のボタンを押す。
このおっさん、金持ってんな。
と、今まで通り金のことから考えてしまう。
この前も今日も
いいスーツを着て。
時計も靴も鞄も
詳しくない奴が見てもいいもんだってわかるくらい
いい格好をしてる。
おっさんの部屋に入ってもそのイメージは変わらなかった。
少ししか物がない殺風景な部屋なのに
数少ない家具のひとつひとつが高そうだ。
こんなでけぇ部屋に独りで住んでるとか
もったいな。
「そこら辺に座っといて。今飲み物用意するから。」
「………。」
言われるがまま
近くにあったソファーに腰掛けた。
なんだこのふかふかした感じは。
気持ちいいし。
「はい、どうぞ。」
目の前のテーブルに出された飲み物は
オレンジジュース。
「なんだこれ。」
「見たまんま。オレンジジュースだよ?」
「餓鬼じゃねぇんだからさ。」
「君、いくつ?」
「17。」
「子供って程でもないけど、おじさんからしたらまだまだ若いね。我が儘言わないで飲みなさい。」
「…………。」
渋々出された飲み物を飲んだ。
久しぶりに飲んだな。こんなの。
コップをテーブルの上に戻し
部屋を見渡す。
「君はどうして悪いことばかりするのかな?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 158