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俺を拾ったのは。
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「ほら、もっとこっちへおいで?」
そう言われたかと思ったら
俺の体はおっさんに抱き寄せられた。
「な、なにすんだよ…近いし…」
「おじさんはね、本当に君のことを心配しているんだよ。」
「嘘ばっかいってんじゃねーよ。」
「本当だよ。」
「………。」
「よしよし。君は寂しいんだよね。」
「……っ…」
自分が泣いていることに
気がついた。
なんで泣いてなんかいるんだ…?
自然に涙が溢れ出す。
止めようと思っているのに止まらない。
「………。」
「…ぅ……っ…」
おっさんは何も言わず…聞かず…。
ただ俺を抱き寄せて
優しく頭を撫でてくれる。
涙も一向に止まる気配がない。
この感じがなんかよくて…
もっとこの感じがほしくて…
気付けばおっさんの胸にすがりついて泣いていた。
やっとおさまってきた頃、ようやくおっさんが口を開いた。
「君は孤児院で生活している子だよね?」
「…な、なんで…それを…」
「君の名前、国塚 玲於君で間違いないんだよね?」
「…あぁ…」
「本当はね、おじさんが心配しているのは君だけなんだ。」
「は?」
どういう意味だ。
前に言ってた時は
君たちみたいな子には真っ当な人生がどーたらこーたら言ってたけど…?
「おじさんが15歳のときにね、今日君がいた公園に赤ん坊が捨てられてたのを見つけたことがあってね…」
「…はぁ……?」
「その子は本当に可愛かったんだ。本当はそのまま自分で育ててあげたかったんだけど、さすがにその時は15だったからさ…幸せにしてあげられる自信がなかったんだよね。」
「………。」
「だから、いつか孤児院に迎えに行って幸せにしてあげようって 思っていたんだ。」
「それがなんなんだよ…」
「その時ね、おじさんはどの子がその時の子かわかるように 名前をつけたんだ。」
「………。」
「その子の名前はね、国塚 玲於。」
「…え……?」
「君のことだよ。玲於君。」
……?
どういうことだ…
「君にはずっと幸せになってほしいと思ってたんだ。だから、迎えに行ったんだ。」
「おっさんが…俺を……?」
「君には今までなかった分の幸せをあげたいんだ。…おじさんのところに住まないか?」
「……そんなん急に言われても…」
「困る…かい? 今すぐに決めろとは言わないよ。ゆっくりでいいから、考えてみて?」
「俺は……。」
何を考えたらいいのか
どうしたらいいのか
さっぱりわからない。
「君はやんちゃな子だけど、本当は優しい子だよね。」
「そんなこと…ねぇし…」
「君は自分のことを喧嘩が強いことくらいしか取り柄がないって思ってるでしょ。」
「…なっ…!?」
「そんなことは決してないからね。おじさんがこれから色々と教えてあげるよ。」
本当にこのおっさんは
俺のことを全部わかっているのか?
なんでも言い当ててくる。
今まで誰にも言ったことがないことも
確実に。
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