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握った手の温もり。
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「……っ…」
震えが止まらない。
立ち上がることすらできない。
これが恐怖…。
両腕を抱え込み丸くなって震えることしかできない俺の体。
涙がとめどなく流れ落ち
死にたい気分になる。
ガチャッ
「ひっ…」
また…またあいつらが…戻ってきたのか…?
嫌だ…もう何もされたくない。
「ただいまー。寂しくなったからタクシーで帰ってきちゃったよー。お土産もあるよー。」
…おっさん?
まだ0時前なのに…
遠くでおっさんの声が聞こえる。
こっちに来るな…
こんな惨めな姿なんか見られたくねぇ。
「玲於ー?もう寝ちゃっ……た…」
俺がこんな姿になっているのを見て
おっさんの顔が真っ青になっていくのがわかった。
手に持っていた物は全て床に落ちて。
「玲於!?どうした!?何があった!?」
「…うっ…うぅ…い、いてぇ…」
おっさんの着ていたコートを俺にかけ
優しく俺をおこし質問をしてくる。
触られただけであちこち痛む。
震える体を優しく撫で
真剣な目で俺を見つめる。
「しっかりしろ!!病院に行くぞ!!」
「い…やだ…」
「だめだ!!」
「こんな…犯されたのなんか…知られたくねぇっ…」
「…!?」
驚いた顔をしたあと
徐々におっさんの顔がものすごく怖くなっていく。
眉間にはシワが入り
目は今にも誰かを殺してしまいそうだ。
「…くそっ!!」
ベッドに俺を寝かせおっさんが何処かへ行こうとする。
震える手をどうにか動かし
俺はおっさんの服を掴んだ。
「待って…今はひとりに…なりたくねぇ…」
「……っ。」
「…行かないで……」
「…わかった。ごめんね。」
布団に入り、前みたいに抱きしめてくれた。
痛いけど安心する。
少しずつだけど、震えはおさまっていって
涙も止まった。
「ごめんね。玲於。俺が家にいなかったばっかりに…」
いつもは自分のことをおじさんとか言ってるのに
今は俺って言ってる。
なんか変な感じ…
「おっさんのこと…知ってるみたいだったけど…知り合い?」
「多分…あいつらの仕業だろう。すまない…」
「………。」
こんなおっさんがつるんでいそうな奴らじゃなかったけど…
なんでだ?
あぁ、思い出したくもない。
あいつらを思い出すと
やられたことまで思い出す。
おっさんとやったときとは違って
気持ちが悪かったあのことを。
おっさんはずっとごめんね。ごめんね。と言って頭を撫でてくれる。
すごく安心して
俺はそのまま寝てしまった。
そして夜が明けた。
目を開けるとまだおっさんは俺の頭を撫でてくれていた。
もしかして…あれからずっと…?
「ん、起きたかい?」
「…うん。」
「ごめんね…こんなになっちゃって…」
「大丈夫…」
傷だらけで痣だらけの俺の体を見て申し訳なさそうにおっさんが言った。
べつにおっさんがやったわけじゃねぇから
おっさんを恨みなんかしない。
「怖かっただろう…二度とこんな目にあわないようにする…本当にすまない…。」
「おっさんが謝らなくてもいいし…」
「こうなってしまったのも俺の責任だ。玲於、今日ここから引っ越すからね。」
「…え?」
「引っ越すというよりも、俺の本当の家に住むってだけだけど。」
本当の家…?
ってことは、ここは別荘的な感じで使ってた…ってことか??
「べつに俺は…どこでも…」
「荷物は後で取りに来るから、先に行こう。今、服を取ってきてあげるね。」
タンスから俺の服を取り出し
俺に着せてくれる。
痛いのは痛いけど、べつに骨が折れてるってわけでもねぇし
自分で着れるんだけど…。
「あ、ありがとう…」
「さて、行こうか。動けるかい?」
「うん…。」
おっさんは着替えもせず、車の鍵と部屋の鍵だけを持ち
俺の手を握って車に乗った。
「眠かったら寝てていいからね。」
「うん。」
おっさんの車はオートマだから左手はあいていて
その左手は俺の右手を握ってる。
あったかい手…。
俺がまだ怯えていると思っているのか
ずっと握っていてくれてる。
けど、俺もそこまでヤワじゃない。
あんなことされてショックだったし
今もあちこち痛てぇけど、
それよりも今はいつかあいつらに仕返しをしてやる
という気持ちの方が勝っている。
ぜってぇ許さねぇ。
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