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よみがえる記憶。
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俺は一瞬頭が真っ白になった。
おっさんが組織の総長だといきなり言うもんだから。
…って、俺はどうなんの!?
ヤクザって、あれでしょ!?
なんか抗争とか賭博とかそういうやばいやつがある組織だろ!?
こんなとこに住んでたら、まず組員に殺されそうだけど!?
「お、おっさん!!どういうことだよ!?」
「どうって、君はここに住むんだよ。」
「なんでだよ!?っつか、さっき俺のこと跡取りだとか言ってなかったか!?」
「ここなら安全だから心配ないし…」
「心配ないって…。って、それよりも跡取りってどういうことだよって!!」
「一応ね、まぁおじさんが死んだ後の話だから。おじさんはそう簡単には死なないから大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃねぇだろ!!」
「大丈夫。あ、そうそう。皆、外ではおじさんのこと会長って呼ぶから。総長よりも誤解されずに済むでしょ?」
俺の意見なんかスルーして、おっさんは組織の決まり事みたいなことを淡々と話し始めた。
誤解もクソも事実なんだからしゃーねぇじゃん。とかツッコミを入れる暇もなく。
君は若頭という立場だから皆には敬語じゃなくていいよ。とか
怪しい人がいたら1人で突っ込まないとか
下手に手はだしちゃだめとか
そんないっきに言われても覚えらんねぇし…。
意味わかんなかったのが
「君は暴力とかは無しにしてね?あと、一生おじさんのそばにいて おじさんとだけ仲良くしてくれればいいから。」
という俺限定の決まり事。
そのあと耳元で
「あんな可愛い声と顔、他の人に晒したらだめだからね?」
と、囁いた。
俺の顔がいっきに熱くなっていったのがわかった。
「あーそう、それとねぇ 君はおじさんと同じ部屋を使うこと。」
「あ!?なんで!?」
「なんでもだよ。これも決まり事。」
決まり事って、今決めただろ!!
部屋がないわけじゃないだろ!?
こんなだだっ広い家なんだからさ!!
「ふふ、不満そうだね?おじさんのこと嫌い?」
「べ、べつに嫌いとか…そういうんじゃねぇし…」
「そうか。素直でよろしい。」
と、微笑んで
俺の頭をぽんぽんする。
それを見ていた組員達は「?」が頭の上に浮かんでいるように俺には見えた。
そりゃそうだろ。
いきなり組を率いる総長が若頭だとか言って
俺みたいな奴を連れてきて
終いには、片方は顔を赤くしてるし
片方は頭をぽんぽんしてるし。
「ということで、今日から俺と若頭である玲於はここに住む。今まで通りよろしく頼むよ。」
おっさんの一言で頭上に「?」を浮かべていた組員達は「はい!!」と一斉に返事をした。
そのあと解散してそれぞれなんかやってたみたいだけど
「やっと帰ってきてくれた。」とか
「これで安心」だとか言っていて
おっさんが総長として、信頼されているというのを確信した。
当のおっさんは、昨夜俺がされたことには一切触れなかった。
おっさんはおっさんなりに気は遣ってくれているんだと思う。
でも時々、殴られて痣になっているところを
大きな手で包み目を細め
少し怖い顔になる。
俺を見つけた時、初めて見せたおっさんの怒っている姿が時折脳裏によみがえる。
鬼のような恐ろしい顔つきで
俺はそれを見た時鳥肌がたった。
おっさんを本気で怒らせるとどうなるかわからない。下手したら殺される。と思った。
総長だからこんなんになったのか
こんなんだから総長なのか。
俺にはわからない。
だけど、あのときのことを思い出すと
おっさんが総長ってのにもなんか納得できる。
きっとそれを組員達もわかっているから
これだけ慕われているんだと、俺は思う。
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