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餓鬼。
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頭が痛くてへばってたはずのおっさんが
汗だくになって息を切らしてる。
「よかった。」
勢いよく抱き寄せられて
俺はおっさんの大きな体に包まれる。
ただコンビニに買い物に行っただけなのに
大袈裟じゃね?
「ごめん…飲み物買いに行ってた。」
「無事ならいいんだよ。でもどこか出掛ける時はもう1人で出歩いちゃだめだからね。」
「…俺、餓鬼じゃねぇんだし…買い物くらいいいだろ…」
「だめ。お願いだから、おじさんの言うこと聞いて?」
なんで…?
俺は餓鬼じゃねぇ。
べつに悪いことしてるわけじゃねぇし
する気もねぇんだから
どこ行こうが俺の勝手じゃん。
おっさんは恋人っつー前に
一応保護者だけどさ。
そこまで縛られる必要なくね?
「おっさんさ…」
「ん?」
「俺のこと、餓鬼扱いしすぎじゃね。」
「そんなことないよ。」
「あるだろ。酒、煙草がだめなのはまだわかる。けど、外出まで制限する必要なんかあんのかよ。」
「………。」
俺を抱きしめていたおっさんは離れ
下を向いている俺を見つめてるのがわかる。
なんだよ。
黙りこくって。
答えられねぇってことは、結局俺のこと 餓鬼扱いしてんじゃねぇかよ。
「玲於?」
「俺はそんなに餓鬼じゃねぇ。」
「それはわかっているよ。」
「わかってねぇだろ。」
「おじさんはね、玲於が心配なんだよ。」
「それが餓鬼扱いしてるっつってんだよ!!」
「………。」
恋人ってよりも
子供っていうふうに見られてる気しかしなくて。
悔しかった。
俺のことをちゃんと恋人としてみてほしいのに。
こういう考えが子供じみてるのか?
ただちゃんと俺を恋人として想ってほしいだけ。
ただそれだけなのに
どうしてこんなに難しい。
俺が餓鬼だから…?
年の差のせい…?
「もういい。」
「…?」
「俺、明日の昼まで施設に戻る。」
「え?どうして?」
「なんだっていいだろ。」
「待って、玲於。」
引き止めるおっさんを無視して
俺はおっさんの家を出た。
施設に戻る気なんかない。
ただ餓鬼扱いされて悔しくて
おっさんの近くにいたくなかった。
これじゃ、ほんとに餓鬼だよな…
親に反抗して家出した餓鬼と一緒だし。
けど、無駄に負けず嫌いっていうか
頑固っていうか
そういう性格のせいで戻る気にはなれない。
餓鬼扱いされてもしゃーねぇのかな…
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