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自分の幸せ。
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「おー!!天使!!」
「烏丸…」
ほんとよく会うな…
鬱陶しいからあんま会いたくない。
「身体は大丈夫か?」
「大丈夫。この前はありがとう。」
「いいえ。谷口の話聞いた。」
「は?なんで知ってんの?」
「あのなー、それくらいのことすぐ知れ渡るわ。まぁ天使があんな目に遭ったのはどこにも情報流れてないから安心しな。」
「あっそう…」
「天使、言っておくが あいつはあんたに関することじゃどうやっても言う事きかないと思うぞ。」
「なんでだよ。」
なんで俺がおっさんの性格を直そうとしてることわかるんだよ。
そんなことまで情報まわってるわけじゃないよな?
「人を殺すなって言ってもあいつは言う事きかない。そもそもこういう世界で生きてたら嫌でも殺らなきゃいけないときもある。」
「嫌だ。」
「どんなに天使が願っても、無理なもんだ。諦めな。俺も谷口も他の奴らも皆そうだ、そこにいる舎弟もな。」
下を向いて難しい顔をしている舎弟。
「すいません、若…。」
「お前ら皆、人殺しになりたいのかよ。」
「そういうわけじゃねぇよ。極道のもんは大体、死んでも世の中に知られない奴が多い。家族もいないし友達もまともにいないからな。知るのは組のもんだけだ。」
「だからって殺ってもいいってわけじゃねぇだろ。」
「他のところの奴らは知らないが、少なくとも俺の組と谷口のとこは必要以上のことはしない。」
「俺は…おっさんと離れたくねぇんだよ…今の生活を失いたくねぇ…」
「だったら天使も谷口達と馴染むしかない。」
「いつかおっさんとか舎弟達がいなくなるかもしれないとか…心配したくねぇし…誰1人失いたくねぇ…」
「あのな、あんた甘いよ。谷口と一緒にいる以上、覚悟決めろ。気持ちはわかる。でも、それくらいのこと覚悟してねーとこのまま付き合っていくのなんて無理だ。」
「………。」
「じゃあな。気をつけて帰れよ。」
ぽんぽんと俺の頭に手をのせて
軽く香水の香りを漂わせながら
烏丸はコンビニを出ていった。
…俺が間違ってるって言うのかよ。
この感じを…家族みたいな奴らを失いたくないって思うのは…だめなことなのかよ。
なんなんだよ…
「若。自分も誰も失いたくねぇと思ってます。でも、いつ何が起こるかわからない。もし誰かに何か起こったら…そのときは総出で仇を取りに行くんですよ。」
「そんなの変だろ。」
「俺らはこういう生き方しかできないんすよ。わかってくれとは言わねぇ…けど、俺らの気持ちもわかってください。」
飲み物を買ってコンビニを後にする。
帰り道。
「俺が組の皆と誰一人欠けることなく、これからも暮らしていきたいって思うのは…間違ったことなのか…?」
「間違っちゃいない。皆そう願ってる。でもいつ何が起こっても…そういう考えは皆頭に入れてます。」
「そんなこと考えなくていいようにはならないのか…?」
「この世界で生きていく以上…無理ですよ。でも若の気持ちは有難いです。優しいんですね。」
「優しくなんかねぇ…俺はただ本当に望んでるだけ…」
そうだ。結局は今普通に皆と暮らしてるのが幸せで
皆で笑って本当の家族みたいで。
だから…失いたくないだけで…。
自分のことばっかりだ…
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