アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
忘れてた。
-
着替え終わったのと同時くらいに玄関のドアが勢いよく開けられた音がした。
2階の部屋にまで聞こえるほどの大きな音で入ってくる奴なんか、ひとりしかいない。
「あーやーとーっ!!!」
バタンッ!!
大きな音を立てて俺の部屋のドアも開けられた。
「綾都おまえ!俺がおぶって帰ろうと思ってたのに何で一人で帰ってんだよ!馬鹿!」
「ば、馬鹿って…、ひとりじゃないし、佐野と帰ったんだよ」
「は?佐野?」
息を切らして帰ってきた和也は、部屋から少し出て1階を覗く。
「ああ、ほんとだ」
そこにはなにやら不機嫌な顔をした佐野。
和也は勢いよく俺の方に振り返って肩をがっしり掴む。
「綾都ほんっとにゴメン!!
傷とかないか?!
おまえの可愛すぎる顔に傷つけてないか!!
嫁に行く前に傷物になるなんて駄目だぞ!!
身長伸びてないか?!」
バシコンッ!
近くに置いてあったちょっと固めのファイルで和也の頭を思いっきり殴った。
「最後の2つは余計だろ!嫁ってなに!身長は伸びてほしいわ!馬鹿!」
「は、なんだ…元気じゃん。よかったぁー」
和也はへたっと座り込む。
「マジでほんとに殺したとか思った…。綾都生きててよかった…」
「あれくらいで死なないし」
「綾都か弱いからな、わかんねーぞっ」
「わっ」
腕を引っ張られて、和也の足の間にすっぽりとおさめられてしまった。
「なに」
「ほんっとにゴメン、悪かった」
後ろからぎゅっと抱きしめられて、背中に和也の体温を感じた。
前に回された腕は少し震えていた。
それを見て、少し笑って回された腕に手を添えた。
「大丈夫だって、ピンピン生きてるよ」
「うん」
「和也ひとりにしないから大丈夫」
「うん」
「…ん?………和也さん、後ろのそれは…なんですか」
「う、ん…」
和也をなだめていたら、なにか腰あたりに当たるものの感触が。
「この状況で何を考えたらそーなんの」
「綾都が優しくてびっくりした結果です」
………和也はやっぱり馬鹿だと思う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 461