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体育祭開幕
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「優樹・・・覚悟は出来たか?」
ゴクリ。と喉を鳴らして 目の前にいる親友を見る。
いつか見た事があるあの真剣な表情で椎名は僕を見つめる。
「む、無理っ」
僕はそんな彼に首を横に振る。
「いや、優樹ならいける。だから・・・な?」
「ぜ、絶対無理!」
「お前なら入るだろ?ちゃんとゴム、つけてるし」
「無理なものは無理っ!ゴムがあってもなくても無理ー!」
『・・・お前ら、会話だけ聞くとすげーエロいんだけど』
「「え゛っ」」
ドン引きした顔のクラスメイトの言葉に、僕と椎名は『最悪』と顔を歪ませる。
「だって体育祭でまで女装とか嫌じゃん!
しかも僕だけ!意味わかんない!」
「これお前が着たら皆のボルテージマックスになるから!優勝間違いないだから!」
「そんなもの知るか!着なくてもボルテージは上げろ!むしろお前らが着ろ!そのスカート ベルト部分がゴムだから伸びるんでしょ!?ならいけるよ!」
「優勝、したくないのか・・・?」
「優勝はしたい!でも失うものが多すぎる!」
「え?俺らは得るものしかないけど?」
「僕にとってだよ!バカ!もうお前が着ろ!」
僕は親友の手にしっかりと握られたチア服に恐怖を感じる。
確かに着ろって前に言われたけど、あれから話は全く上がらなかったし、見ることもなかったから冗談だと思ってた。
そして完全に存在を忘れていた。
他にも実行委員になったり、
ストーカーされてたりとか色々あったし。
「・・・やけに煩いと思ったら、貴方達でしたか」
「夏目さん!」
夏目さんは晴天の下、相変わらず涼し気な表情を浮かべていた。
夏目さんの体操着姿 初めて見たけど似合ってるな。
あっ、鉢巻き 白だ。夏目さん 仲間なんだ。
にしても似合うのは素がいいからなんだろうなぁ。
イケメンってズルイ。
・・・運動出来るイメージはないけど。(失礼)
「優樹さん、これから開会式ですので静かに素早く列に並んでください。貴方の声はただでさえ響くので」
非常に迷惑だ。と言いたげに眉を顰める。
・・・悪かったな、声高くて。
「椎名さんもです。優樹さんは子供みたいにすぐ喚くんですから貴方が大人にならないと」
「はい」
なんか僕、ディスられてない?
「どうしたのですか?まさか、自分の列がわからなくなったのですか?さすがにそれはありませんよね?幼稚園児じゃないのですから」
夏目さんの事を下から睨んでいたら鼻で笑われた。
「それぐらいわかります!今から行こうと思ったんですよ!じゃあ失礼しま・・・」
「優樹さん」
背を向けた僕は夏目さんに肩に手を置かれる。
そして耳元で囁かれた。
「あれから もう大丈夫ですか?」
「大丈夫です。」
「・・・そうですか、なら良かった」
夏目さんは手を放す。
「優樹さん、体育祭が楽しみではしゃぐのはいいですが 許容範囲内でお願いしますね」
では。と夏目さんは人混みに紛れてしまった。
「・・・椎名、とりあえずチア服は忘れて勝つ事だけに集中しよう。」
「OK、チア服は着ろ。そして優勝もする!」
「なんで着せようとする!?椎名が着てよ!
皆 笑顔になれるよ!?」
「え?オレのチアなんてキモイだけだろ」
「ネタと笑いはゲット出来るでしょ!?」
椎名も僕も譲らずにいると、
今度は綾人さんがこちらに駆け寄ってきた。
「ユキちゃん発見っ!」
「グハッ!」
そのままスピードを緩めることなく抱き着かれ、後ろにぶっ倒れそうになる。
「ひ、楸先輩っ!おはようございます!」
「おはよう、椎名。いい天気だな!
絶好の体育祭日和で良かった」
太陽の如く眩しい笑顔を浮かべる彼の頭には赤い鉢巻きが見えた。
「・・・ヤバイ、椎名。綾人さん 敵だよ」
「えっ!マジかよ!?負けるじゃん!」
「いや、俺一人じゃ勝てないから。」
綾人さんが でも、と腕に力を込めて続ける。
「ユキちゃんが手に入るなら負けてもいいよ?」
「優樹・・・短い間 ありがとう。」
「待って待って待って!!売るの早すぎない!?即決したよね!?」
「仕方ないだろ?お前1人とチームの皆、どっちが大切だと思う?」
「僕にとっては僕が一番大切だけど!?」
何!?その『1人は皆の為に』精神!
しかも親友をなんの躊躇いもなく売ろうとするとは・・・。椎名って恐ろしい。
「でもユキちゃんが敵でも味方でもカッコ悪いとこ見せたくねぇから全力で頑張るよ」
綾人さんは耳元で囁いた。
「これでユキちゃんが少しでも俺の事 好きになってくれたらいいな」
「っ!?」
僕の顔に熱が集まる。
綾人さんは僕と椎名の頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ、お互い 楽しもうな!
二人共 俺の勇姿をしっかり見てろよ!」
元気よく去っていく綾人さんの背中を
親友はじっと見つめていた。
「・・・はぁ、カッコイイ」
「あー、うん。そうだね」
勇姿とか自分に自信が無いと絶対言えないし。
『三城ー!椎名ー!お前らも早く列並べー!』
少し離れた所からクラスメイトに呼ばれる。
僕達は慌てて列に並ぶと すぐ 開会式が始まった。
胸の鼓動がいつもより早いのはきっと緊張してるからだろう。
僕はそう自分に言い聞かせて、
初めての高校の体育祭に挑むのであった。
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現実では明日 バレンタインですね!
チョコが美味しい季節ですね!
・・・まあ、私には縁がないリア充イベントですが!(泣)
私の分まで皆さん 素敵なバレンタインを
お過ごしください!
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