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悪魔の囁き
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「っは・・・ふぅ、はぁ」
「ゆう、き、辛かったら・・・もう、いいんだぜ?」
「いや、まだ・・・負けるわけにはっ・・・っわ!」
「おまっ!しっかりしろよっ!」
序盤に比べてだいぶ息が上がり、転びかけたボクは椎名に支えられ体勢を持ち直した。
「よ、ようやく校舎が見えてきたな・・・」
「長かった・・・金持ちの学校、ホント色々・・・用意しすぎ・・・!」
急な坂を何回も昇ったり降りたり、
不正解でけもの道を案内されて迷子になったり、
なぜか射的的な感じでアーチェリーが用意されて
的の真ん中に当てるまで次に進めなかったりなど
よく分からないものまで用意されていた。
これ 絶対なんかのバラエティー番組だったっけ?
と何度 椎名と顔を見合わせたことやら・・・。
校門を抜けると同時に、電子時計の画面がパッと明るくなった。
【お疲れ様です。無事 校舎に辿り着きましたね!
このまま真っ直ぐ受付に行って、
お好きな封筒を1つ選んでください。
選んだら中に書かれている指示に従ってください。】
(まだ何かやらせるのか!!!)
ボクと椎名はウンザリした顔をする。
ドローンで変な顔したのも中継されてるんだろうけど、もう知らん。
ボク達は受付に言って好きな封筒を選んで中を見る。
「・・・椎名、何だった?」
「・・・優樹から言ってくれ。俺は現実を受け入れられない」
「・・・どうせ言うんだから勿体ぶらずに言えよ。」
「・・・・・・・・・【グラウンド3周追加】」
「うわぁ・・・」
ボクはドン引きする。
森の中をあんだけ走らせておいて・・・。
そんな地獄のミッションがあるのか。
「優樹は?」
「【三城 鷹雅が用意した衣装(12番)を着ること】」
「待て、12番って何だ」
きっと13、14、15・・・とまだまだ用意しているんだろう。
そんな事よりどんな服なんだろ、12番。
3周追加とか違う恐怖なんだけど。
ボクの考えてる事が分かったのか、同情の顔を向けられた。ボクも向けたけど。
「フィッティングルームはあっちって書いてる・・・」
「そうか・・・」
それぞれミッションをこなす為にお互い健闘を祈り
(ボクはメンタル。椎名は体力面で)
さらにゲッソリした顔で目的地に向かう。
目的地が受付から少し離れた校舎の1階の教室を指していたのでそこに向かう。
ずらりとかけられた衣装に、壁際には服屋にあるようなしっかりした扉付きのフィッティングルームがいくつか並んでいた。
「・・・優樹さん?」
そんな教室に入るとそこには燕尾服に身を包んだ涼しげな顔をした夏目さんの姿があった。
・・・この人、ホントに走った?
ここまで走ってきたんだよね?
と疑ってしまうくらい汗一つかいてないんだけど。
暑苦しそうな衣装 着てるのに。
「夏目さん、速いんですね」
「全問正解だったのでそのおかげかと。
あのハンデがなければきっと今もまだ走ってます」
この人、スゲー腹立つな!!
頭いいのは知ってたけど!
テストの時以外でここまで腹ただしい気持ちになったの初めてだわっ!
「へ、へぇ~!夏目さん、頭いいですもんねぇー!」
とボクは指定された服を探す。
えっと12番、12番・・・。
あ、あった。
「それですか・・・」
12番の服を手に取ったボクに
夏目さんは表情を変えずに声を漏らす。
「何ですか?」
「いえ。手伝いましょうか?」
「結構です!」
ボクはフィッティングルームに駆け込み、
服をカゴにいれて素早く着替える。
「優樹さん」
「はいっ!?」
バイトで身につけた早着替えの技をフル活用して、
フィッティングルームから出る。
と、夏目さんにガッシリとドアを掴まれた。
「・・・あの、早くゴールしたいんですけど」
「優樹さん、私と取引をしませんか?」
「・・・は?」
眉をひそめたボクに夏目さんは笑顔を浮かべる。
「なるほど、契約して魔法少女になれと」
「なんですか、それ」
あっ、ダメだ。元ネタ通じなかった。
「え?じゃあ何になれと?」
「・・・何にしてもいいなら、そうですね」
じりじりと近づいてくる夏目さんから逃げようと後ずさる。
が、フィッティングルームの鏡にすぐ背中があたり 追い込められた。
「今夜、優樹さんを私のモノにしたい」
顔のすぐ横に手を置かれ、
耳元で優しいテノールが囁かれた。
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