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憧れの先輩・・・?
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「ユキちゃん」
綾人さんのまっすぐな目で捕らえられた僕は、金縛りにあったかのように身体が動かなくなる。
僕の上に跨る綾人さんは僕の前髪をサラリと横に流して、額に一瞬だけキスをした。
「甘い・・・」
綾人さんは僕の瞼と頬にも優しくキスを落とす。
小さなリップ音と、冷たい唇の感触にビクッと反応してしまう。
「ユキちゃん、目ぇ閉じてないで開けろよ。」
開けて、オレだけを見て。
感じて、考えられなくなれよ。
僕は目をゆっくり開ける。
そこにはたったの2つしか変わらないのに、
大人っぽさと色気全開な綾人さんが妖しく笑っていた。
「だ、ダメ、アヤトさん。こっち見てる・・・。」
綾人さんの胸を押して、目を逸らす。
綾人さんはそんな僕の顎を掴むと強引に向き合わせた。
「そんなの知らねぇよ。オレはお前がいればいいんだから・・・」
綾人さんは頬に添えていた手を離し、つーっと首筋をなぞる。
くすぐったさとゾクゾクとした感覚に身をよじる。
「これ以上、イタズラされたくなかったら大人しくしろよ。いい子にしたら、たっぷり愛してやるから」
「「きゃーーーん!!」」
お客さんは歓声を上げる。
「いいわいいわぁ!オレ様なアヤト君と、完璧な受けのユキちゃん!萌えるわぁ〜!」
「最高だわ!次のコミケの作品の参考に・・・でも、このこの上なく素敵なカップルを独り占めしたいし、どうすればいいの!?」
お客さんが暴走してる。
僕は僕に乗っかってる綾人さんをじっと見つめる。
すると、僕には絶対手に入らないであろう、ワイルドさや男らしさを兼ね備えた理想な容姿をしている綾人さんも僕をじっと見つめ返してきた。
「アヤトさん、すみません。そろそろ体勢を直したいんですけど・・・」
「ああ、悪い」
綾人さんは僕から退くと、軽々と僕を持ち上げて股の間にちょこんと座らされた。
そして包み込むように後ろから抱きしめられる。
「・・・んっ?」
あまりにもナチュラル過ぎて一瞬反応が遅れた。
「さっきから思ったんだけど」
「は、はい?」
「ユキちゃん、なんか甘いもんでも食べた?」
「いや、特に何も」
「ふーん、そうか。」
なんか甘い匂いがすんだけどなぁ。と綾人さんは僕の首筋に顔を埋める。
「ひゃうっ!」
首筋に当たる綾人さんの髪や息がくすぐったい。
「アヤトさん、くすぐったいです!」
「んー、やっぱり甘いんだよなー」
「聞いてますか!?」
綾人さんは僕の髪をすくったり、いじり始める。
「それに温かいし、柔らかい」
「アヤトさ・・・」
「ユキちゃんって、美味しそうだよな」
「っ!?」
首だけ動かして振り返った瞬間、
綾人さんの射貫くような目と目が合う。
「・・・ごめん、誰か。誰かティッシュ持ってない?
萌えすぎて鼻血が・・・」
「ええっ!?」
僕は慌ててブレザーからポケットティッシュを取り出す。
「よかったらこれ、使ってください!」
「ありがとう、ユキちゃ・・・」
マユと呼ばれたお客さんは手を伸ばして固まった。
そして、なぜかさらに大量の鼻血をボタボタと流し始めた。
「ヤバイ、ユキちゃんの体温が伝わってるティッシュとか・・・勿体なくて使えない!家宝にするっ!」
「やめて!出血でこのままじゃ死ぬから!
ホラーになるから使って!」
「ああ、ユキちゃんのいい匂いがする〜・・・ぐへへっ!ぐふふっ!」
「アンタ出血多量でおかしくなってない!?」
「「(この人、怖い・・・)」」
フロアにいる全員の心が一つになった瞬間だった。
※ちなみにお客さんはなんやかんや言ってたけど、僕のティッシュを使って鼻血を止めたのだった。
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