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飢餓と食料調達
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「しっかりしろ、後。素振り500回終わるまでおわんねぇぞっっ!!」
「そ、そんなぁ~っっ!!」
土方の怒声に
道場のあちこちから情けない声が上がり続ける
「甘ったれたこといってんじゃねぇっっ!!
ったく、どいつもこいつも」
「トシ、言いたいことはわかるが。やっぱり、あれが原因じゃねぇか?」
近藤さんが言いたいこと
それは
あの、怪力娘のことである
食堂に行けば、
予想通りしゃもじを箸がわりに白米を
かっくらっていた
何だって、こんなことに
近藤さんが人が良すぎるのも問題だな
こんなことに構ってはいられない
いられない筈なのだが
真選組は今、食糧難に陥りそうである
「おい、チャイナ娘」
モグモグと頬を膨らませながら
咀嚼を繰り返し、こちらに視線をやる
「何か用アルカ?」
「用も何も、うちを食い潰すきか」
「食い潰すもなにもまだ、炊飯器3個分しかたべてないネ。ケチケチすんなよ。税金泥棒が」
「うちの炊飯器は、どんだけデカイと思ってやがる。普通の炊飯器何かより、3倍はでけぇぞっ!
つうか、税金泥棒って何だ?!」
「まぁまぁ、トシ。落ち着けって。神楽ちゃん、食べ盛りなのは分かるが、もう少し食べる量を減らしてくれないか?じゃないと、全員に十分な量がいきわたらなくてな」
「この世界は弱肉強食アル。自分の欲しい獲物は自分で取るのがルールネ」
チャイナ娘の言い分は最もその通りだ。
確かに、血気盛んな真選組の隊士たちは
常なら、喧嘩でも売りそうなものだが
原因は、何なのか妻子もちもいるために
この年齢の子供に言い出すにも言い出せないのか
それとも、女に免疫がないために
どう扱ったらと戸惑っているのか
とにかく、チャイナ娘に強く出られないのだけは
れっきとした事実であった
「じゃあ!トシと一緒に買い出しに行ってくれないか!」
「はぁ?!何で、俺が!!」
「頼むよ。トシ。これから、とっつぁんが来るんだ。チャイナ娘を見られたら困る」
「はぁ?だったら、尚更俺がいた方がいいだろ
許可なくここにいるんだチャイナ娘を追い出す大義名分も出来るだろうし」
「いや、とっつぁんの事だ。愛娘の栗子ちゃんをあんなに可愛がってんだぞ。それに、あの容姿だ、気に入りでもしたら、ここにずっと置くことになるぞ」
近藤さんは小声で
チャイナ娘に気づかれぬよう話す。
確かに、とっつぁんが気に入りでもしたら
今まで下らねぇことで駆り出された以上に面倒なことになりかねない
「嫌アル」
「え?」
チャイナ娘の返答に驚いたのか
近藤さんが目を丸くさせる。
「だから、嫌ネ。こんなニコチン巻き散らかしてる奴と一緒に買い出しなんて。臭いが移るヨ」
「トシ」
「………わったよ。煙草消しゃあいいんだろ。消しゃあ」
「よし、これで」
「嫌ネ、マヨネーズ臭いアル」
この餓鬼、言わせておけば
喧嘩売ってるよなっ!?
売ってんだな!!
「わ、わかった!!それじゃあ、銀も一緒だったらいいだろ?」
その言葉だけには
ピクリと反応を示し、近藤を見上げる
「………そこまで、言うなら仕方ないアルナ」
どんだけ、アイツになついてんだよ
※
「で?何で、君と俺が買い物することになってんの?」
「俺に聞くな。大体、お前が連れてきたあのチャイナ娘が家の食料食い潰しそうになんのが悪いんだろうが。」
銀時は毎晩、毎晩、土方に駆り出されて
久しぶりにその苦行から解放されたかと思えば
なぜか、土方と神楽と真選組の買い出しに
同伴することになり渋々買い出しに出ていた
「銀ちゃん、あそこに乾物が売ってるアルヨ!!」
「はぁ?乾物?んなもん誰も食わねぇ……ッ、おい!何かってに?!」
チャイナ娘といえば坂田の言葉も聞かずに
何故か、乾物屋に引き摺っていった
てか、何だ。あの、一瞬ひきつった顔、そこまで乾物が嫌いなのか?
「あ、あっちがいいネ」
「アレも、見たいアル」
「銀ちゃん、行くヨ」
まるで、娘の付き添いの親父のような図に
微笑ましさを感じないでもないが
何しろ、つまみ食いする量が多い多い
「オラッ、もう帰るぞ。日も暮れてきた」
「え~~っ、まだ帰りたくなんかないアル」
坂田の腕を引っ張り
帰るように促すと首の後ろをかきながら
あぁと返事を返される
つうか、昼間から感じてた
チャイナ娘の鋭い目付きが更に酷くなったきが
するのは、気のせいか?
「ほら、帰るぞ」
不貞腐れたように頬を膨らませ
目線を合わせようとしないチャイナ娘にたいし
坂田は同じ目線までしゃがむと
「お前、帰らねぇのか。そうか、じゃあ今日のデザートのプリンはなしだな~」
それだけ言い
さっさと立ち上がり、2、3歩先に進むとチャイナ娘にわざとらしく目配せをする
「何行ってるネ、プリンは全部私のアルヨ!」
「アレ~?お前、帰んないんじゃねぇの?」
ぐしゃぐしゃと撫でるその手は優しく
その目は少し細められて、口元がかすかに緩んでいる
面前のその光景に少し目を見張っていると
凍てつくような明らかにこちらを凝視する
視線に辺りを見渡す
「何だ?」
一通り辺りを見回し終わると
その視線の正体に合点がいく
坂田越しにギロリと睨みつけるような
2つの目にいきあう
その目はまるで
『銀ちゃんに近づくなヨ』
と言っているようだった。
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