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猫と可愛げ
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「もう6時か」
まだ、覚醒してない頭を何とか起こし
向かった先は、近藤さんと坂田がいる
部屋だ。
アレを隊士達に見せるわけには
いかねぇんだよ。
例の部屋の前でふぅと深呼吸を一つ
して、中にそっと入ると
まだ二人はぐっすりと眠っていた。
坂田が近藤さんに抱きつく様な
寝方を見て、一瞬、硬直したが
部屋の外から聞こえる誰かの声に
はっと意識を戻した。
「おい、起きろ。もう朝だぞ」
身体を揺らしても
大声を出しても
布団をはいでも
起きようとしない二人に辟易としながらも
何かいい策がないか考えていると
坂田がんと唸った。
「おい、お前。さっさと起きろ」
「………ん」
「………ッ!」
肩を揺り動かしていると
ふいに腕を掴まれ擦り寄ったかと思うと
俺の腕を枕代わりにしだした。
「ッえ、」
その表情が妙に穏やかで
子供のようでつい腕を解くことのないまま
にしてその寝顔を少しの間見ていた。
「睫毛も銀色なんだな」
俺が言葉を発したのに気づいたのか
白い睫毛がフルフルと動き
ゆっくりとその瞼が持ち上がり
少し色素の薄い紅い瞳が現れる。
「ん、……だれ」
「土方だ」
「多串?誰それ、そんな人いたっけ?」
「土方十四郎だっ!!真選組副長の!!」
「………………あぁ。副長さんね。てゆうか、こんな時間に何なの?眠くねぇの」
「眠いけど、こんな姿、隊士達に見せるわけにはいかねぇって、寝るな!!」
俺の腕に更に力をいれて
本格的に二度寝しようとする坂田に
怒鳴ると、閉じられていた瞼が再び
しかし、今度は面倒そうに開かれた。
「銀さん、眠いんだけど」
「何だ、どうしたんだ?」
坂田をどうにかして起こそうと
画策している時に
坂田の隣から声が上がった
「トシか?どうしたんだ、こんな朝っぱらから」
近藤さんのいつも通りさに
内心呆れながら
朝から長いため息を吐いた。
近藤さんは、のっそりと起き上がり
大きなあくびをしながらも
俺をみやった。
「どうしたって……。つうか、アンタ
その傷どうしたんだ?」
近藤さんの顔や腕、手、首元
身体中に、いや、主に上半身に
大小まばらで引っかかれた様な
可愛いものではあるが、傷ができていた。
こんな傷、昨日あったか?
「ん?あぁ、これな。昨日、猫に引っかかれた。」
「猫?」
「あぁ、たまに凶暴になっちまう猫なんだよ」
そうやって
穏やかにいってのけ
坂田の髪を撫で上げた。
※
「全くの素人?そいつは、本当か?」
「あぁ、間違いねぇ。原田たちに大怪我を負わせたのは攘夷党でもましてそいつらに雇われたプロでもねぇ、剣もろくに握ったことのない、素人だ」
「そんな奴に、うちの隊士たちが揃いも揃って怪我を負うはずねぇ」
「あぁ。だが、
昨日、うちの隊士を襲ったのは
おそらく、薬の服用者である可能性が高い。それも非合法のな」
「非合法のか?」
「だったよな?」
土方が戸の向こうに視線をやるので
それを近藤は視線でおいかける
すると、戸が開き原田が
室内に入ってきた。
昨日の姿のまま
枕を抱きながらぐっすりと
眠っている様子に釘付けになっていた。
「まだ、寝てるんすか」
原田の一言で
その戸惑いに気づいたのか近藤は
苦笑いしながら原田を見た。
「気にするな、ただ、ちょっと寝付きが悪かったみてーでな」
ただ、寝汚いだけだろと
土方は内心思いつつも原田に
話をする様に促した。
「昨日の夜、巡回中に_____」
原田が口を開いた瞬間
無機質な音が部屋に響き渡った。
「あぁ、悪い。俺だ。………あぁ?」
「どうかしたのか、トシ?誰からだ?」
「見廻組局長からだ。」
「見廻組局長?そいつは、どうして?」
「知らねぇよ。ただ、高見の見物決め込もうってのが見え見えだ。佐々木の野郎。
近藤さん、どうも昨日の件よりもコイツを先に片さなきゃならねぇようだ、高杉が江戸に入った」
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