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季節と眠気
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静けさが映え
微かな月明かりが照らす夜
辺りは深々としていて
たまにする音と言えば、
風がヒューっとふくおと程度だ
そこに、たんたんたんと床を叩く音が響き
「よっこらせと」
真っ暗な夜にも映える
銀髪の男が縁側の柱に寄っ掛かり
腰を下ろす
一人、お猪口と酒を持って縁側に腰を下ろす
銀時の視線の先には
あの桜の木
少し葉桜になってはいるが
未だ鮮やかなピンクの花を咲かせている
其をお猪口を片手に酒を煽りながら
暫く、見つめ続けた
「おい」
銀時は自分に向かいかかった声だときずき振り向くと、少し湿った黒髪、切れ長の瞳をした男が、土方が
眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな表情で立っていた
「副長さん、何か用ですか、あぁ、いる?」
風呂上がりに酒に酔しれ
男にしては白い肌を更に赤くし
たどたどしく話せば
随分酔っているのだと分かる
土方は、眉間の皺を更によせ
お猪口を揺らし酒を突きだす銀時に
チッと舌打ちをし、少し冷めた様な声をだす
「大事な話があると言ったはずだが」
「大丈夫だって、副長さん。
銀さんこう見えて記憶力はいいからさ」
「生憎、酒浸りに話すようなことはねぇよ」
「だから、大丈夫だっていってんじゃん、信用ねぇなぁ」
「聞いてなかったじゃ、すまされねぇぞわかってんのか」
目付きが更に鋭くなり
銀時を睨めつけるような視線を向ける
「へいへい、わかってますよーっ」
「山崎から、連絡が入った
近日中に売人が動く。攘夷党との接触を確認しだい突入する
坂田、お前が先陣を切ることになる、一緒に突入する隊士達もいるだろうがな」
「あー、そう」
銀時は首筋をボリボリと掻きながら
気のない返事を返し、
その瞳は何処か遠くを見ていて
虚ろげて、何処か寂しげだった
銀時は鮮やかな桜を見続け酒を煽っていた為、
土方からはその表情を伺い知ることは出来なかった
ただ、月の淡い光に充てられた
銀髪だけが光って見えた
「伝えたからな、坂田」
土方は、そう言い残し、さっさと立ち去っていった
柱に寄っ掛かていた為か
この、心地よい夜のせいか
うつろうつろとなり、
襲いくる眠気には勝てず
瞼をゆっくりと閉じ眠りについた
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