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曇天と懐疑
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「これ以上、降らなきゃいいんだけど」
姉上に頼まれた、買出しの帰りに
ぽつぽつと小降りの雨が降ってきて
年のため持ってきた傘をひらく
此処最近は、暫く晴天続きで少し肌寒い気もするがポカポカと暖かい日差しが差し込み
薄手で出歩く人も少なくなかったが、昨日の夜ごろから土砂降りで一夜明け、
今も、雨がぽつぽつと降ってくるし、
昨日の雨にやられて足場も悪く水分を含んだ土が靴に張り付く
天気に左右されてか憂鬱な気分で道を歩く、何気なく顔をあげると
視線の先に入ってきたのは、黒い集団、遠くから見ても分かる
黒の隊服を着た真選組だった
少し前までは、真選組の人を
見かければ
なるべく
関わりを持たないようにしていたけど、
銀さんがいないか探すのが当たり前になっていた
あの日、以来、あの天人も道場に取り立てには来ないし、
あれ以来、銀さんも見かけなかった
家の近くでも真選組がパトロールをしているのを偶に見かけるが
銀さんを見たことは一度も無かった
だから、また違うんだろうと半分あきらめの気持ちともう半分は期待の気持ちをおり混ぜながらも
数十メートルも先に見える黒い人達を凝視すると銀が見えた
あの、黒い隊服とと反発しているかのような銀の髪が
「銀さんっ!!」
名前を大きな声で呼び、人目も憚らずに黒い人達に駆け寄る
町の人達は僕の行動に驚きの表情で見たかと思うと数秒僕を視線で追いかけるが、
僕の向かってる場所に気づき、訝しげな表情を作る人や興味を無くしたのか何事も無かったかのように歩き出す人皆、一様に反応は違った
銀さんは僕の声に気づくことなく、振り返ることなく歩き続けている
後、数メートルの所でもう一度銀さんに声をかけるとようやく振り返り
瞳を見開き驚いた表情だったが
直ぐに、やる気のない顔に戻る
「うおっ、何だっ!?」
「銀さんっ、やっと、見つけましたよ」
「あぁ、眼鏡君。お前、こんなとこで何してんの?」
「だから、僕は眼鏡じゃ無くて新八ですよ、いい加減覚えてくださいよ」
「そういえば、俺に何時、甘味奢ってくれんですかぁ?遅すぎると利しつけちゃうよ?」
「だったら、先に姉上との約束を果たしてから言ってくださいよ」
「えっ?……あ~?あ~~今度な、今度」
「あんた、本当に分かってんですか?」
「分かってるつうの、今度、あれだろ町内会のじいさんどもとひとつなぎの秘宝を探せばいいんだろ」
「全然っ、ちがうわっ!!ひとつなぎの秘宝って完全にあの作品のあれじゃないすかっ!!!ちょっとぉ、本当に分かってんですよね?」
「分かってるつうの、俺を誰だと思ってんだよ、ジャンプ歴20年だぞ、★ンピースに決まってんだろ」
「おいぃぃいい!!僕が敢えてオブラートに包んでたのに、何タイトル名だしてんだよっ!!」
「いやいや、眼鏡君
ちゃんと見てよ、銀さんだって
大人だから、★がちゃんと入ってるから、この、何いってるか微妙なラインでちゃんとやってるから」
「そういうもんだいじゃねえよっ!!つうか、んなセコい大人なんか嫌ですよっ❗」
「おい」
銀さんの後ろの方から
声が飛んできたと見てみれば、
黒い髪色に目付きの鋭い男が
紫煙を漂わせながら視線をこちらにやっている
真選組の隊服を着ているのからして
きっと、銀さんに声をかけたのだと
容易に理解できる
「坂田、行くぞ」
「はいはい、んじゃ眼鏡君バイバイ」
銀さんがヒラヒラと軽く手を振り
別れを言う際も
僕は、何て返せたか分からない
それどころか、言葉が出ていたかも
不鮮明だった
あの、黒髪の男が見せた
瞳が忘れられなかった
特にこれといった理由はない
だが、気になった
銀さんに向けられたはずの瞳が
銀さんを写していないことに
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