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お登勢とデジャヴュ
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買い出しから帰ると
店と民家の路地にボロボロの珍しい毛色の男が倒れていた
「ちょいと、あんた大丈夫かぃ?」
声をかけるが反応する気配もない
死んでるんじゃ無いかと思い、
男の口元に手を近づけ、
息があるのを確認する
死んじゃいないが、身体はボロボロだ
「お登勢さん、今日は珍しくこんな時間に開いてんのかぃ?って、その人死んでるんじゃ!!」
家の常連にしちゃあ居ない若い客が
通りかかり、倒れてる男を見るや
顔を真っ青にしている
「何いってんだい、ちゃんと生きてるよ、ただ、意識がないみたいでね、悪いけど医者を呼んできてくれないかい?」
「お登勢さんはどうするんで?」
「私は、この男を部屋に運ぶとするかね」
「そういうことなら、俺に任せてくれよ、婆さんよりかは若い俺の方がいいだろ?」
「そうかぃ、じゃあ頼まれてくれるかぃ?店の奥の和室に客用の布団があるから、私は医者を呼んでくる」
「任せてくんな」
若い客に鍵をわたすと
若い客はにかっと人の良い笑みを浮かべ、男を肩に担ぎ店の奥に進む
それを見送ると
近くの医者に訳を話し、
家に連れていくと
男はまだ、意識は戻っていないようで
客用の布団で眠っている
「あんた、まだ居たのかぃ?」
「ひでーな、お登勢さん、泥棒が入っても困るだろ」
客とそんなことを話していると
医者が男に近づき診察を始める
私達は後ろに下がりその様子を覗きみる
男が着ている白い着流しの衿の部分を開け男の身体を見ると医者は顔が強ばって
見えた、医者は何を言うでもなく続け
包帯を多少取りだし男の腕に巻きつけたりと半刻がたった頃、医者がこちらに振り向く
「多少、刀傷は負っていたが
この男、酷い貧血のようだな、それで倒れたんじゃないのかまぁ、どちらにせよ命に別状はない」
「そうですか!そりゃあ、良かった」
「それだけじゃ無いんじゃ、ないのかい」
医者は、少し真剣な瞳で私を見ると
言いづらそうに話し出す
「悪いことは言わない、この男に関わるのは止めた方がいい、この男、凄い刀傷だ、それに真新しい傷もある、治療されてるが酷いもんだ」
「そうかぃ」
「そうかぃってあんたなぁ、人がいいにも程がある、何かあったじゃ遅い」
「はいはい、ジジイの愚痴は聞きたかないよ、嫁さんにでも聞いてもらいな」
「何処のババアも他人の言うことに耳をかしゃあしねぇなぁ、おい、若いの
お前は変なのにつかまんじゃねぇぞ」
「えっ。あっ、はい」
「お代は?」
「この男にこの紙渡しとくれ」
医者は溜め息をつき、それだけ言うと
店の暖簾を潜って
帰っていった
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