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異変(*)
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もっと、嫌そうな顔で俺を睨んできたり、涙ぐんだりすると思ったのに、
実際その顔は、嬉しそうな笑顔とともに、恍惚としたような表情を浮かべていた。
「!?」
思わず、先輩の体を引き離す。
離れてみても、やっぱりそれは見間違いじゃなくて…
「先輩…?」
「ゆう……舌、入れねぇの?」
ーーゾクリとした。
その声は、いつもの凛としたものではなく、まるで俺に従属したような、そんな声。
普段なら興奮を煽るようなその声も、今はただただ恐ろしかった。
もしかして、先輩はこんな表情や、声までも、“作らなくてはいけない”状況におかれたことが、あるのか?
だとしたら…残酷すぎる。
でも、双子の彩さんは普通な感じだった。
なのに、先輩だけ? なんで?
「ゆうってばぁ!」
「…っ!」
気づけば世界が傾き、先輩の顔が上に来ていた。その向こう側には天井が見える。
先輩に押し倒され、跨られていることに気づくのは遅くなかった。
「おれ…ちゅーヘタだった? 嫌いになっちゃった? ねぇ、ゆう」
今度は泣きそうな顔でそう呟く。
でも…これは、きっと本当の表情。
「どういうことだよ…」
「嫌いになっちゃやぁ…」
「……嫌いじゃないよ。先輩。大好き。愛してる」
そう告げると、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
その表情は、今まで見せてくれたどの表情よりも綺麗だった。
これは、本物。
で、あって欲しい。
そう思いながら再び口を塞いだ。
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