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番号 冬馬side
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「何これ?」
その紙は2つに折りたたまれていたため、とりあえずその紙を開いて見ると携帯番号のような数字が書いてあった。
…誰の番号だ?
それに、何で急にこんなの渡してきたんだろ?
俺はその紙をじっと見てそんなことを考えていると、夏樹がその答えを教えてくれた。
「それお前の恋人の番号だから。」
…え…?
俺は、平然とした口ぶりでそんなことを言う夏樹の言葉に耳を疑い夏樹の方を振り向くが、その顔は冗談や嘘をついているようには見えない。
恋人の番号って…
でも俺は、夏樹に紅那と付き合ってるなんて教えてない。
それに、教えてたとしても夏樹が何で俺も知らないようなこと知ってんだ?
この間店に紅那が来た時だって、柚李先輩以外は紅那と話しても無かった。
なのになんで、夏樹が紅那の番号なんて分かるんだよ…
「夏樹…俺の恋人知ってんの?」
俺は、どうしても夏樹の言っていることが理解出来ず、まさかと言うようにそう問いかけた。
やっぱり夏樹がそんなことを知るわけが無い。
だって携帯番号なんて普通は、家族か友達か恋人ぐらいしか知らないだろ…
俺は、何故か不安だった。
もしも、本当にそれが紅那の番号なら、2人の繋がりを何も知らないことが怖くて仕方ない。
俺は、平然としていることも出来ず、余裕がないことを悟られないように夏樹の顔から目をそらす。
質問の答えを聞きたいけど聞くのが怖い。
しかし、夏樹はやはり鋭くて俺に余裕がないことぐらいすぐに見抜いてしまう。
「はぁ…、お前どんだけ余裕ないんだよ…、言っとくけど俺とお前の恋人…、紅那…だっけ?とは知り合いでも何でもないからな。」
「じゃあ番号は…」
「先輩に頼んでハルさんに聞いて貰ったんだよ。お前がずっとため息ばっかでうぜえから。」
俺の思っていることは、夏樹にはだだ漏れだったらしく呆れたようにため息を吐きながらも不安を全て解決させる答えをくれた。
わざわざ先輩に頼んでくれたんだ…
いっつも先輩と喧嘩ばっかしてて、めんどくさいことなんて嫌いなはずなのに、俺のためにわざわざ…
「ありがとう…」
俺は、胸の内を取り巻いていたモヤモヤが晴れ、夏樹に礼を言うと作り笑いなんかじゃない本当の笑みが自然にこぼれた。
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