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彼らの至福のとき 04歩
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部屋に入ってきた三人はテンションが高かった。
ウィッグは着けたことないからということで被らないで手に持っていたんだけど、僕たちは髪が長いから「そのままでもイケる」と鼻の下を伸ばしたいおくんが言っている。
「んー柚月くんは地毛でよかね。色葉は髪色が合わんけん、ウィッグ着けてね。あず、柚月くんの化粧して」
「はぁい。柚月さんここに座ってください」
「うん。お願いします」
僕は梓ちゃんにベッドに座るように促され、それに従った。
一方色葉くんは椿さんに反論していた。
「なんで俺だけ髪色が合わんって理由でウィッグね?!」
「そんなこというならスカート履かせるけんね?!スカートとウィッグどっちがよかね?」
「俺は大人しくウィッグ被って欲しいー!ゆーちゃんとは真逆のイメージの方が助かる!」
化粧の準備をしている梓ちゃんのその後ろで喧嘩になっている二人と椿さん側について色々言っているいおくんに思わず苦笑い。
「賑やかだね」
「ですね〜!つば姉といろ兄の本気の喧嘩はあれより賑やかと言うか、過激になりますよ。私は二人と喧嘩してもそんなことになったことはありませんけどね」
「僕には兄弟がいないから憶測でしかないけど、きっと可愛い妹だからだよ」
少し寂しそうな梓ちゃんにそんな言葉しか掛けられなくて申し訳ない。だけど本当にそれが理由の一つだと思うんだ。
もう一つ挙げるなら、椿さんと色葉くん二人とも気が強いからだと思う。梓ちゃんも二人と明るいところは似ているけど、気は強くなく、穏やかだから。
「ふふ。ありがとうございます。そう言われて嬉しいです。さぁ、準備が出来たので目を瞑って下さい」
「はーい」
三人の言い争いをBGMに僕は梓ちゃんに変えられていく。
途中で擽ったくなって笑ってしまうと「真顔でお願いしやーす」と更に笑わせてくるから辛い。
「梓ちゃん、笑わせないで」
「柚月さん、笑ったら失敗します。失敗したらアイラインでほっぺにぐるぐる描いておきますね」
「それは嫌だな。侑李さんに笑われちゃう」
「彼氏さんですか?もしかしてこの後デートですか?」
「そうだよ。だから失敗しないでね」
「ふふ。どうしよっかなー」
今日初めて会ったから少し緊張していたけど、やっぱり色葉くんの妹だね。話しやすい。
ただ、失敗されてぐるぐる描かれるのは困るけど。
侑李さんならそれでも「可愛い」と言ってくるだろうけど、どうせ女装するなら本当に可愛くなりたい。
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