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楽しいデートを 01歩
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侑李さんの車は色葉くんの家から近いコインパーキングに停めてあった。
スカートに気をつけながら助手席に乗り込み、シートベルトをする。
「どこに行きたい?」
「もうお昼だし遅いかもしれないけど……」
「うん?」
「夢の国に行ってみたいの」
大学に入るまでは友達がいなかったし、大学に入ってから出来た友達はみんな男だらけじゃ嫌という理由で行くことがなかった。
響は二人でも行こうかって言ってくれたけど、僕なんかと二人きりでは可哀想だから断った。
だから結局行ったことがなかったのだ。
侑李さんと夢の国ってミスマッチだと思うけど一緒に行ってみたいから、アトラクションとかパレードとか色々調べてある。
テレビ番組でもちゃんと見た。
どれも楽しそうで、キラキラしていて、本当に夢の国なんだろうなって感じた。
侑李さんが行きたくなければ、無駄になってしまうけど仕方ない。
恐る恐る侑李さんに目を向けると何故かホッとしていた。
「はー…よかった。もうそこのチケット買って、ホテルも取ってるから、違うところ言われたらどうしようかと思ってたんだ」
侑李さんは少しだけ笑い、力が抜けたように背凭れに寄りかかった。
「どうして行きたいってこと分かってたの?誰にも話してないのに…」
「テレビでその特集やってたとき、やけに見入っていたからな」
「それだけで?」
それだったら侑李さんは目の腐った変な人ではなくて、目の腐った変なエスパーじゃん。
そう思いながら首を傾げて問うと侑李さんは困ったように笑いながら口を開いた。
「あとは…俺の膝に乗ってる時にスマホ使うから調べてるのがっつり見えてた」
「……そう」
「そうだぞ」
確かに侑李さんの膝の居心地がよくて、よくそこに座って色々していた。
僕は自ら行きたいというアピールをしていたのか。
……恥ずかしい。そして申し訳ない。
「ごめんなさい。厚かましかったよね」
「そんなわけない。分かりやすくて助かった」
「もう…」
「柚月は面白いよな。目が腐ってるだの、変な人だの、毒を吐いてくる割に、変なところで謙虚。もう少し図々しくしていい」
恋人との距離の取り方が分からないのだから仕方ないじゃん。
そう思って口を尖らせると、侑李さんの顔が近づいてきてそっとキスをされた。
「口紅が落ちるよ」
「大丈夫。梓ちゃんから口紅渡されているから」
そう言って見せられる可愛い口紅。
流石に口に塗るものだから僕用で買ってあったんだろうか。
「梓ちゃんにはお見通しだったんだね」
「そうだな。とりあえずお前に渡しておくから」
「はーい」
口紅を受け取って、とりあえず薬を入れているポーチに入れた。
後でお礼のメッセージ送らないとな。
僕がポーチに入れたのを確認すると「じゃあ出発するな」とナビの目的地に夢の国付近のホテルを設定して侑李さんはアクセルを踏んだ。
初めての夢の国。すごく楽しみで、車の中でずっとニヤついていた。
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