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楽しいデートを 02歩
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ドキドキしながら入場口を潜ると、外国にあるような建物が出迎えてくれた。
確か、パーク内を楽しむために頭につけるカチューシャとか、Tシャツとかが売ってある建物だ!
「ねえ!侑李さん!あそこでカチューシャ買おう!」
「そんなに急がなくても逃げないから…」
何か言っている侑李さんを無視して、繋いでいる手に力を入れて引っ張って歩き出す。
逃げないけど、早く行きたいから仕方ないんだ!
柄にもなく子供っぽく燥いでいるのは自覚しているけど、初めての夢の国、大人しくいられる訳がない。
休日ということもあったかお店の中は人の多さが想像以上だった。
侑李さんと逸れても大きいから分かるけど、また一緒になれるかどうか…。
入り口で立ち竦んでいると、侑李さんが僕を引っ張って歩き出した。
「とりあえずカチューシャがあるところに行くぞ」
どうやら人混みをかき分けて連れて行ってくれるらしい。
大人しく侑李さんに引っ張っていかれると、多くの種類のカチューシャがあるところまで直ぐに着いた。
「わあ……!」
「どれがいい?」
「僕、あの双子のキャラクターのカチューシャがいい!好きなの。あとね、侑李さんにもつけてほしい」
最後の僕の言葉に「本気…?」と、双子のキャラクターのカチューシャに伸びていた手がピタッと止まった。
「うん。本気。大丈夫だよ、侑李さんって格好いいから。それに折角来たんだもん。普段しないようなことして、侑李さんと楽しみたい」
「…………」
「嫌だ…?」
カップルで二人ともがカチューシャつけたりする人がいるらしいから、侑李さんとしたいと思っていた。
だから侑李さんにつけて欲しいものを、ちゃんと考えて来たんだけどな。
侑李さんがしたくないなら仕方ないか…。
「僕が勝手に買ってくるから付けてね」
僕は作戦第二弾の強行突破をすることにした。
きっと僕が買ってきたらしてくれるはずだから。
そう思って侑李さんにつけて欲しいカチューシャと、ついでに揃いで着たかったパーカーを僕と侑李さんの分、手に取って人混みの中を進もうと歩き出す。
ここに入る前に尻込みしていたのが嘘みたいだ。
「俺が払うから」
「パスポート代払ってもらってるし、これ二つとも使ってほしいから僕が払う」
「ちょっと待て…!」
侑李さんは急いで僕のつけるカチューシャを持って後ろからついてくる。
「そんなの気にしなくていいから。それに柚月がそう言うなら使うから」
「でも自分の分くらいっ」
「俺に払わせろ」
そう言って手に持っていたものは取られてしまい、支払われてしまった。
何から何まで出してもらうのはすごく気が引けるんだけど、侑李さんはどう思っているんだろう…?
レジでタグを切ってもらって、外でカチューシャをつけ、パーカーを羽織る。
侑李さんにも合うサイズがあってよかった。
パーカーとカチューシャを身につけ、そわそわしている侑李さんが面白い。
無意識なのかカチューシャを触りながら口を尖らせている。
可愛くはない。
「俺の年齢的に大丈夫か?これ」
「大丈夫だよ!それに格好いい格好いい」
口を尖らせているせいで格好よさがないから棒読みになってしまうけど、口を尖らせていなかったら格好いい。
多分、ここにいる人たちの中で一番。
怖いけど、なんだかんだ格好いいんだから。
元々ジーンズにグレーのシャツというシンプルな服装だけど格好よかった。
普通の表情でもパーカーとカチューシャのおかげでギャグっぽくなったけど、格好いいのは変わらないと思う。
「気持ちがこもってないぞ」
「ふふ」
言いながら見上げると目が合った。
太陽のおかげで侑李さんの瞳の色が茶色なのがよく分かる。
綺麗だな。
ニコッと微笑むと、「なんだ?」と侑李さんも少し微笑んでくれた。
キスしたいなあ…。外だからできないし、今は舌も入れられないけど。
侑李さんは僕の気持ちが分かったのか、僕の唇に人差し指を当て、「あとでな」と優しく笑った。
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