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優先される理由 05歩
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「あれ…どうして…」
瞬きをするたびに頬を流れる涙。
自分でも、どうして涙が出るのか分からない。
どうしよう、とあたふたしていると、頭の上に温もりを感じた。
それは、楢崎さんが手を置いたからだった。
「お前頑張ってるんだもんな。疲れたから涙が出るんだろ」
楢崎さんの言葉を無言で頭を横に振って否定する。
頑張ってなんか、ない。
迷惑しかかけてない。
「そうか。でも頑張って生きてるよ、お前は」
今度は肯定の意味を込めて、縦に振った。
そして楢崎さんの言葉に更に涙が流れ出した。
うん…。そうなの。
僕は頑張って生きているの。消えたいけど、頑張って生きてるの。
「そう。だから、たくさん泣いて、たくさん食べて、たくさん寝るといい」
頭にある楢崎さんなの手を取って両手で握り、額に当てて泣く。
「つら、かった…っ」
もう本当に辛かったんだ。
特に仕事ができない僕が、みんなに迷惑をかけて、どうしてここにいるのか分からなくなっていた。
迷惑をかけるだけの僕はただの邪魔者。
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