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死に損ないと変人 02歩
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バイトが終わって何となく家に帰りたくなくて、海に寄り道をした。
バイト先から一時間くらい掛かるところ。
海辺にぼーっと座る。
特に何かをするわけでもなく、ただただ座る。
早朝だから、ランニングロードで走っている人がちらほら見える。
砂浜には僕一人だけ。
「あー…消えたいな」
海の中をずーっと歩いて行けば、その内溺れて死ぬことができるのかな。
溺死って苦しいよね。 出来れば、スパッと死にたいんだけど。
「でも、まあ…」
死んでしまえるなら関係ない、と呟いて立ち上がり、荷物はそのままにして歩き始めた。
一歩、また一歩とゆっくり歩く。
さよならまでの距離が近づいて行く。
進むたびにサクッ、サクッという音が、次第にピチャッ、ポチャッと重い音になっていく。
「はは。水の中は冷たいなあ…」
まだ三月だから仕方ないか。
そうは言っても明日から四月なんだけど。
あ、そうか。明日はエイプリルフールなんだ。
僕も人を騙したかったな。
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