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死に損ないと変人 06歩
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余計に泣き出した僕のお腹を楢崎さんは、トントンと優しく叩く。
「彼女なんていないよ。俺はお前のことが好きなんだよ。だから、一人でいいなんて言うな」
「すきとか、いみわかんない…っ。ぼく、おとこだよ…」
顔は女の子みたいだけど、僕はれっきとした男。
アレもちゃんとついているし。
「知ってるよ。男だけど好きなんだ。本当は言うつもりなんてなかったのに」
お前が死のうとするから…、と楢崎さんは悲しそうに言って僕をギュッと強く抱きしめた。
「へんな、ひと…」
楢崎さんは本当に変な人。
男で面倒臭いやつに優しくするし、好きになったとか言うし。
「それでもいい。だから、柚月。お前は死のうとするな。俺と一緒に生きて」
「それは、こくはく…?」
「告白」
色葉くんたちカップルも男同士だし、偏見はない。
僕も……ね。
だけど僕は楢崎さんのことが好きか分からないし、自分のことで精一杯だ。
「ぼく、ならさきさんのこと、れんあいで、すきかは、わかりませんよ…?」
「いいよ」
「じぶんのことしか、かんがえる、余裕が、ありませんよ?」
「いいよ」
「知ってると、思いますけど、僕は、面倒くさいですよ?」
「それでもお前が好きだ」
こんなことを言われるのは初めてだから、戸惑ってしまう。
みんなは「汚い」とか「死ね」とか否定的な言葉しか言わないから。
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