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甘えたな時もある 01歩
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今日は午後から二つ講義を受けるだけだったから、バイトが終わると家に帰ってぐっすり眠って登校した。
「おはよ〜響」
「おー、柚月おはよ」
朝に会っても、昼に会っても、夕方に会っても挨拶は「おはよう」の僕たち。
今までずっとそうだった。
「眠い」
そう言って教室に行ってすぐに机に突っ伏するのも、毎回している。
バイト明けでもそうじゃなくても。
「バイトだった?」
「そー。それで、今日はバイトの子たちと飲みに行くの」
「いいなー。俺も飲みに行きたい」
「いいでしょう。今度僕とでよかったら行こうよ」
「おう!バイトがない日に連絡するわ」
響とはよく二人で飲みに行くけど、楽しいのかな、なんて思ってしまう。
まあ、そんなことは誰にでも思ってしまうけど。
その後、ゲームの話をしていると、教授が来たから話を中断して、講義に集中した。
響には、侑李さんとのことは伝えていない。
まだそんなタイミングではない…というか話す勇気がない。
色葉くんといおくんは、色葉くんが男の人と付き合っていることを知っていたから伝えることができた。
でも、響とはそんな話はしたことない。だから、拒絶されるかそうじゃないのか分からない。
拒絶されて、周りにバラされてしまうかもしれない。
最近…侑李さんと付き合うようになってから、あの人達に遭遇しないように気を張ってていた。
地元は少し遠くて遭遇する確率は低いけど、それでもするかもしれないから。
まだ一人のときはいい。侑李さんとか、誰かと一緒のときに遭遇したくはない。
きっと誰かと一緒にいるときにあの人達と遭遇してしまうと、あの人達はバラしてしまうから。
そうなってしまうと、また「汚い」と言われたり、周りから変な目で見られたり、あの人達みたいなことをされるかもしれない。
侑李さんからの温もりも消えるかもしれない。
最近、暗かった視界が、少しずつ、本当に少しずつ明るくなってきたんだ。
それがまた暗くなるなんて嫌だ。
こんなことを考えていると、響のことを信用してないみたいで申し訳なくなるけど、どうにもならない。
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