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僕の誕生日 12歩
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家に着いても表情は曇っていて、訳が分からない僕はとうとう泣いてしまった。
いきなり泣き出した僕に驚いた侑李さんは「どうした?」といつもの表情になって僕の頭を撫でた。
「グスッ…侑李、さんの、ばか…!…なんで、こわいかお、するの…」
馬鹿、と弱々しく侑李さんを叩くと、侑李さんは頭を傾げた。
「悪い。そういうつもりはなかった…」
「ぼくが…っ、なに、させられても、いいって、いってから…っ」
どうして誕生日にこんな理由で泣かなければならないんだ。
元々バイト以外何も用事のなかった誕生日を恋人である侑李さんに祝ってもらえて幸せだと思ったのに。
侑李さんは視線をずらして「あー…あれか」と呟いた。
「悪い。柚月が自分を大切にしてないような感じがして悲しくなった」
ごめん、と申し訳なさそうに謝られるけど許せない。
「うぅ…ばか。すき、なのに…っ!好き…っ」
ようやく好きだと自覚できたのに。
そう思って侑李さんを睨むと、何故か侑李さんは固まっていた。
その顔が何とも言えない面白い顔で、おかげで僕の涙は止まってしまった。
「…なに、かたまって」
「今、好きって…」
「侑李さんが好きっ。悪いっ?」
ぶっきら棒に答えると、ギュッと強く抱き締められた。
驚いて「ど、どうしたの」と見上げると、侑李さんは薄っすらと目に涙を浮かべながら嬉しそうに笑っていた。
「…嬉しい」
「そんなに?」
「そんなに」
僕なんかに好かれて大変なのによく嬉しがるよね…。僕も侑李さんと両思いになるのは嬉しいけど。
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