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【番外編】ゆづくんといっしょ 19歩
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結局僕はずっと侑李さんから離れないで、ココアを作るときも後ろから抱きついていた。
そんな僕を邪険に扱うことなく、時々頭を撫でてくれるから嬉しい。
「侑李さんってココアパウダーからココア作ってくれていたんだね」
「そう。ココアパウダーを炒ってから作ると美味しいんだよな」
「バイトのときもそんな風に作ってたの?」
「んー…まあ、そうだな。でもこの作り方は店長が教えてくれたやつ」
侑李さんは作り慣れているのか、ココアパウダー、砂糖、牛乳を計らないで鍋に入れる。
弱火にかけて、それをしばらく泡立て器で混ぜる。
それがペースト状になったら、更に牛乳を入れて中火にかける。
「中々手間がかかっていたんだね」
「うん。調整ココア買ってそのまま温めたミルクいれてもいいんだけど、手間かけたほうが美味しいからな」
「へえ〜」
火を止め、出来上がったココアを予め温めていたマグカップに入れ、更に生クリームを入れて、侑李さん特製のココアが完成した。
「これで完成。ほら、ソファで飲むぞ」
「うん」
侑李さんは僕を一撫でして、二人分のマグカップを持ってソファに行った。もちろん僕も連れて。
侑李さんにペタッとくっついて座ってココアを飲み始めた。
「…美味しい」
「それはよかった」
「僕の、作った、ココアより美味しい…っ」
さっきも泣いたのにまた出てくる涙。
僕は気にしないで一口一口大切にココアを飲む。
美味しい。
温かい。
僕のと作り方が根本的に違ったから味が違っても仕方ないけど、同じ作り方でもこんな温かさは再現できなかったと思う。
「俺はお前が作ったココア美味しかったと思うぞ。でも、柚月のココアはこれからも俺に作らせて?」
いい?と僕の顔を覗き込む侑李さんに、僕は「いいよ…っ!」と泣きながらキスをした。
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