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僕の友達と宝物 06歩
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30分くらい歩き、家に送り届けた。
実家暮らしの響を迎えたのはお母さんと弟の景(けい)くん。
そして景くんは「馬鹿兄貴がすいません」と言って響を部屋に引きずって行ってた。
扱いの酷さにいつ見てもクスッと笑ってしまう。
「いつもごめんねぇ。うちの馬鹿息子が」
「いえ。景くんの行動にはいつ見ても笑わされます」
そう言うと何故か響のお母さんは驚いた表情をした。
「あら…柚月くん…柔らかくなったわね」
「へ…?」
「前は無表情とまではいかないけど、あまり笑っていなかったのよ」
「すみません…」
「ふふ。謝らなくていいのよ。おばちゃん安心したわ。柚月くんがそんな表情するようになって」
響のお母さんの言葉は、まるで自分の母親から言われているように温かい。
だから、温かい言葉を貰うと擽ったく感じるし、泣きそうになる。
まあ…僕の母さんからはそんな言葉を貰ったことはないけど。
「ありがとうございます…っ」
「ふふ。いい人が出来たのならおばちゃんにも紹介してね」
「あ、えっと…はい…」
出来るのだろうか、そんなこと。
僕には話題を流す話術があるわけではないから、変な返事になってしまった。
多分、表情にも出ていたんだろう。
響のお母さんは「聞いて」と優しい声で話し始めた。
「柚月くんの恋愛は柚月くんのものよ。貴方と相手が納得する恋愛が出来ていればいい。それならば誰にも口出しをする権利はないの。だからね、柚月くんがどんな人を連れてきてもお祝いするわ」
響のお母さんの言葉は誰にも言われたことのない、僕には身に余る温かい言葉だった。
思わず泣きそうになった。
「はい…っ!」
「よし。連れてくるときは言ってね。ご馳走作って待っているわ」
それから暫く話して、響のお母さんが僕の家まで送ってくれるというのでその言葉に甘えた。
今日は侑李さんに伝えたいことが三つも出来た。
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