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さよなら貴方の僕 06歩
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頭と身体が痛くて深くは眠れなくて、三時間に一回は目が覚めていた。
だから寝たような寝ていないような感じ。
もう夕方くらいの暗さで、未だに身体がしんどいからバイトを代わってもらって正解だったな。
そんなことをボーッと考えてながら起き上がると足元から「ゆ、づき…?」と聞き覚えのある声がした。
僕は驚いて、しんどいのに慌てて布団から降りて辺りを見渡し、電気を点け、足元を見ると何故かいるはずのない人がいた。
え…どうして…意味が分からない。
「どうしているの…侑李さん」
「返信来ないし、電話しても繋がらないから心配した」
「…そう……」
返信だけでもしておけばよかった。
そうしたら侑李さんは来なかったのに。
どうして返信しなかったんだよ。
「それよりお前熱あるだろ?今はどうだ?」
僕に近づけられる手。
僕はその手をパシッと振り払った。
「いってぇ」
「あ……い、や…っ」
嫌だ。触らないで。
汚い僕を触らないで。
…殴らないで。
僕は怖くなってその場にしゃがみ込み震え始める。
あの人たちには何されてもこんな風にならないのに、どうしてなんだろう。
「…分かった。触らないから、とりあえずベッドに入ってくれ」
「………」
「お願いだ」
「…本当に触らない?」
「触らない」
そう言われて顔を上げると侑李さんは僕から離れていて、すごく悲しそうな顔をしていた。
気付かないふりをして再びベッドに入り、布団を深く被った。
「食欲は?」
「ない」
「そうか。でもとりあえず水分補給だけはしてくれ。スポーツドリンクあるから」
「…ん」
正直喉がカラカラだったから助かる。
僕は布団の中から腕だけを出してペットボトルを受け取った。
それは常温で冷たくなくて、僕の体調に気を遣われているのが分かって少し心が温かくなる。
「あまり一気に飲むなよ?吐くから」
「…はい」
そうは言っても、今何時か分からないけど昨日の夜から何も水分を摂取していない体が言うことを聞くわけもなく、500ml全て飲み干してしまった。
空になったペットボトルを布団から出すと「…まじか」となんとも言えないという感じの声が聞こえてきた。
「喉が、酷く乾いていて…」
「袋枕元に置いてるから間に合わなさそうなら、それに吐けよ」
「…うん。ごめんな…」
僕が謝ろうとすると「…なあ」と侑李さんの声に遮られた。
「…布団越しなら触れてもいい?」
その声は今まで聞いた中で一番弱々しく、それを聞いてズキッと胸が痛んだ。
だから思わず「…うん」と返事をしてしまった。
それから侑李さんは僕のお腹付近をポンポンとしていた。
身勝手だと思いながらも、それがとても心地よくて数分もしないうちに眠ってしまった。
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