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こんな僕でもいいですか 04歩
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苦笑いで出されたスープに苦笑いでしか返せない。
「…なんか見るからに激アツですって感じのスープだね…」
「悪い。ぼーっとしていたらいつの間にか鍋が吹いてた」
「珍しいね。侑李さんがぼーっとしているのって寝起きだけだと思ってた」
僕の方が起きるの遅いか、会うのが侑李さんの起床後だったりするから殆ど見たことないんだけど、寝起きは本当にぼーっとしている。
声を掛けて起こすと、むくりと起き上がって3分くらいただただ呼吸と瞬きをしてから動き出す。
それを見ると起動に時間のかかるロボットみたいだなといつも思う。
僕と付き合う前に一度だけ見た寝起きは、お腹掻きながら洗面所に行ったからおじさんみたいだったんだけどね。
「柚月が可愛くて堪らないなと思ってたんだよ。…なあ、撫でていい?」
「…うん」
「よかった」
そう言って口角を上げて優しく微笑む侑李さんに久しぶりに頭を撫でられた。
すると心の中がギュッと掴まれたように苦しくなる。
「…ごめんなさい」
「…ん」
何度も何度も全身を洗い、取り敢えず触られるくらい綺麗になったから、いつ触られてもいいと思っていた。
でもいざ触られると、侑李さん以外に犯されたことや侑李さんを拒否してしまっていたことに対する罪悪感で押しつぶされそうになる。
「…本当にごめんなさい。浮気をする前に捨ててって僕が言ったのに、ぼ、僕は…」
はぁ、はぁ、と呼吸が荒くなっていく。
あぁ…やっぱりこのまま侑李さんに本当のことを知られずに死んでしまいたい。侑李さんにとって、割と綺麗だった僕のままで。
“他の人に犯されました”
そんなことなんて本当は侑李さんにも誰にも知られたくない。
侑李さんが好きすぎて苦しいんだ。今までこんな感情を持ったことはないから、この苦しみをどうやって発散したらいいか分からない。
そもそも侑李さんと出会わず、こんな感情が湧かなければ原野くんたちに犯されたことなんて何ともないように過ごすことが出来たのに。
…でも侑李さんと出会ったこと、少しも後悔したことはないから困るんだ。
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