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こんな僕でもいいですか 07歩+一言
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どのくらいの時間なのか分からないけど、とにかく侑李さんが満足まで聞いていた。
「僕のこと可愛いって言いすぎだよ」
「それ程可愛いと思ってるんだよ」
侑李さんは満足したように笑ったと思えば直ぐに悲しそうに笑い、僕の額にキスをした。
どうしたの?と聞こうとすると、苦しく感じるほど力強く抱き締められた。
「柚月…すまなかった」
どうして侑李さんが謝るの…?
そう聞き返そうとして口を開きかけたけど、再び口を閉じた。
侑李さんは優しいから、一緒に出掛けたのに守れなかったとか思って責めているんだろう。
侑李さんは悪くないのに。僕が全て悪いのに。
そう言ったところで、きっと侑李さんの気は晴れない。
それに…僕にとっても侑李さんにとってもこれは時間の問題でしかないのだと思う。
僕は何も言わず、侑李さんの気の済むまでそのままでいた。
夜になり、同じベッドに横になる。
侑李さんに腕枕をされて、上半身裸の彼にピタッとくっついている。
上半身だけ裸になっているのは侑李さんだけではなく僕も。
そう僕がお願いしたのだ。
「我儘聞いてくれてありがと」
「んーん。柚月がこれで満足するなら安いもんだ」
「満足しないよ。本当はエッチしたいもん。でも暫く我慢するの」
素肌同士で密着するのは気持ちがいい。
あの時原野くんたちに中出しされて、もし病気だったら嫌だから検査の受けられるまでの期間と病気ではないと分かるまではエッチとか感染するようなことをしないと夕飯のときに二人で決めた。
これがお互いのため。
でも本当にエッチしたい!侑李さんとのエッチは身体だけではなくて心も満たされるから。
…どう足掻いても暫くできないことには変わりがない現状が恨めしく思えてくる。
くっついても晴らされない鬱憤を、「ゔー」と唸りながら侑李さんの胸にグリグリと顔を擦り付けてどうにか晴らそうとする。
髪の毛が擽ったいのか「くふふ」なんて少し気持ちの悪…侑李さんらしくない声が聞こえて、僕は停止した。
「くふふ…っ。はぁ、擽ってぇ」
「くふふって侑李さんが言うとあまりよろしくないと思います」
「……はっきり言ったらどうだ」
擽ったがる侑李さんに対して感じたことを遠回しに伝えると、不機嫌そうな声が降ってきた。
「怒らない?」と侑李さんの顔を見上げると、「何を今更」と頬を摘まれた。
その侑李さんの表情は歳と顔に似合わず悪戯っ子の様で、いつもとのギャップに少しだけドキッとした。
僕ってこういうギャップに弱いのかな…?
「痛いです」
「頬が伸びても可愛いな」
「本当に変な人ですね。まあ、僕も“くふふ”なんて顔に似合わない変な笑い方する変な侑李さんも好きなんだけどね」
「変変言い過ぎだぞ」
「そんな僕は嫌だ?」
そう聞くのはズルいと思うけど、そう聞かずにはいられないんだ。
だって侑李さんはちゃんと僕の欲しい答えをくれる。
だからと言って僕に同情してではなくて、本心からそう答えてくれるから。
「どんな柚月でも好きに決まってるだろ」
「ふふ、それなら良かった。僕も侑李さん好きだよ」
「ほんと可愛いな」
侑李さんも十分格好いいよ。残念なイケメンだけど。
段々と瞼が重くなってくる。
侑李さんに頬を揉んでいるのが気持ちいいせい。
頬を揉む侑李さんに構わず、最初みたいにピタッとくっつく。
「僕が眠るまで抱き締めてて…?」
「ああ。ずっと抱き締めている」
「ありがと。おやすみなさい」
「おやすみ、柚月」
どのくらいの時間が掛かるかは分からないけど、一緒に過ごしながら、大きな塊のような苦しみを溶かしていけたらいいなあ。
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